<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):スピードスケート>◇20日◇女子1500メートル決勝◇ミラノ・スピードスケート…
<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):スピードスケート>◇20日◇女子1500メートル決勝◇ミラノ・スピードスケート競技場
世界記録保持者の高木美帆(31=TOKIOインカラミ)が本命種目でメダルを逃した。
過去2大会銀メダルだった1500メートルで1分54秒865で6位。最大目標に掲げた大本命での頂点には届かず、500、1000メートル、団体追い抜きの銅メダル3つで大会を終えた。オランダのライプマデヨングが1分54秒09で初の金メダルを獲得した。
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頂に0秒77、届かなかった。衝撃の6位。高木はひざに手をつき、氷を見つめて「あー、そうか」。ヨハン・デビットコーチと抱き合うと、無言の時間が流れた。顔がゆがみ、身体が沈む。コーチの右肩に顔をうずめた。涙がとまらなかった。左手で、右手で、目元をぬぐう。佐藤綾乃からも抱きつかれ「お疲れさまです」。また涙があふれた。
「勝ちたい」。とにかく攻めた。1100メートルまで2位で今季一番の快走。「少しでも早くゴールしたい」。残り400メートルを駆けた。もがけばもがくほど、足は止まった。ラスト1周で6位に転落。「自分の挑戦は終わったんだ」と悔いた。
22年北京後、引退が頭をよぎった。23年に現役続行を決意。突き動かしたのは「五輪の1500メートルでやり切れていない。ミラノで1500メートルを取る」の思いだけだった。18年平昌で初のメダルを手にして、過去2大会銀だった種目。短距離のスピード、長距離の持久力と両方の能力が求められる「キング・オブ・スピードスケート」。オールラウンダーとして、世界記録保持者として誇りがあった。過去に表に出さなかったこだわりを、あえて口にした。
過去の自分を超えるため、自らスポンサーを探してチームを発足。ただ滑りは北京のピーク時に戻らない。今季開幕前には「中ぶらりん」と表現するほど状態は悪化。五輪シーズンにブレード(刃)を替え、滑り方を見直した。試行錯誤しながらもがき苦しんだ。結果はまさかの6位。「最後まで試練を与えてくる種目。自分を強くさせてくれて、弱い自分を見せつけられた」と受け止めた。ただ、ミラノへ歩んできた4年間は「よく頑張った。気持ちが折れずにここまでこられた」と胸を張った。
10年バンクーバー大会で15歳で五輪デビュー。14年ソチ五輪は落選を味わった。18年平昌で3個、22年北京で4個のメダルを手にした。イタリアで3つを積み上げ、ついに10個の大台に到達。冬の競技では異例の数字をたたき出した。3月には世界選手権(オランダ)に出場予定。今後については「毎回、最後だと思って挑んできた。五輪やシーズンが終わってからゆっくり考える」と語るにとどめた。4度目の五輪は敗戦で幕を閉じた。目標を掲げて挑んだ4年間は、きっと色あせない。【飯岡大暉】