阪神は総力結集で初のセ・リーグ連覇を目指すことになった。球団は21日、離脱している石井大智投手(28)が「左アキレス腱(…
阪神は総力結集で初のセ・リーグ連覇を目指すことになった。球団は21日、離脱している石井大智投手(28)が「左アキレス腱(けん)断裂縫合術」を受けたと発表した。当初発表されていた「損傷」は実は断裂。今季中の復帰は厳しくなった。昨年、50試合連続無失点の日本記録を樹立したセットアッパー。藤川球児監督(45)が「チームの心臓」と誇るブルペン陣が真価を試されている。
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ショッキングな負傷シーンから10日。球団は石井が大阪府の病院で手術を受け、20日に退院したと発表した。術式は「左アキレス腱断裂縫合術」。損傷と発表されていた患部は断裂していた。前例からも、今季中の復帰は難しくなった。
石井は球団を通じてコメントを発表した。辞退した侍ジャパンや、代替招集の西武隅田、そして阪神に「申し訳ない気持ち」と謝罪をつづり、今季絶望を受け入れたように続けた。
「WBC連覇、阪神タイガースのリーグ優勝、そして皆さまの健康を心から願っています。これから長いリハビリになりますが、最善を尽くし、また満員の甲子園球場で良いパフォーマンスを出せるように努力していきます」(抜粋)
11日の紅白戦でバックアップに走った際に足を痛めて崩れ落ちた。翌日に大阪で「アキレス腱損傷」と診断された。藤川監督は昨年、ブルペンを「チームの心臓」と言って戦力構想の中心に据えた。史上最速のリーグ優勝まで心臓は力強く脈打ち続けた。それも石井の大活躍があったから。そろって防御率0点台だったセットアッパー及川は「正直、いなくなったら一番困る選手」とダメージの大きさを表現した。
昨年から新たな救援投手の台頭を求めていた藤川監督は、今キャンプでも、工藤、木下、石黒らに具体的な課題を与え、成長を促してきた。12日には涙を流しながら「さらに強くなって帰ってきて」と石井について話した指揮官だったが、この日はあえてコメントしなかった。全員が、脇目もふらず前に進んでいる。
「優勝を願っています」という石井のコメントを受けて、守護神の岩崎はこう呼びかけた。「(リハビリを)前向きにやってくれると思います。グラウンドで一緒に戦えないけど、いろいろと助けてもらうこともある。『願わずに、一緒に戦ってくれ』って感じ。あなたも戦力ですよ」。当人だけでなく、全体を鼓舞するメッセージにも聞こえる。球団初のセ・リーグ連覇を目指す阪神の、真の強さが問われる1年になる。【柏原誠】
◆石井大智(いしい・だいち)1997年(平9)7月29日生まれ、秋田市出身。秋田高専-四国IL高知を経て、20年ドラフト8位で阪神入団。21年3月26日ヤクルト戦で初登板。23年5月11日ヤクルト戦で初勝利。25年に50試合連続無失点のプロ野球新記録。連続イニングでも49回で球団記録を更新。今季推定年俸2億円。175センチ、79キロ。右投げ右打ち。
◆アキレス腱(けん)断裂 アキレス腱が何らかの原因で断裂すること。手術療法では手術後1~2週間は装具で足を固定し安静を保つ。その後、歩行やランニングを再開するためのリハビリを開始する。スポーツ外傷のなかでは最も重症度が高く、競技復帰には約半年から1年を要す。