<侍日記>球団の垣根を越えた出会いも侍ジャパンの魅力だ。ナインが非公開練習で汗を流した午前中。静まり返ったサンマリンスタ…

<侍日記>

球団の垣根を越えた出会いも侍ジャパンの魅力だ。ナインが非公開練習で汗を流した午前中。静まり返ったサンマリンスタジアム三塁側ベンチで声をかけられた。

「久しぶりです。日焼けしてるね~」

振り向くとそこには中村辰哉さん(30)。明るく差し出された手を握り返しながら、宮崎の強い日差しの下での再会に非日常を感じた。

勘の良い人は見覚えのある顔で気づくだろう。23年WBCで“胴上げ捕手”となり、今大会も選出されている中村悠平捕手(35)の弟だ。昨年まで私が担当していたDeNAで球団職員として営業兼打撃投手を務めていた。横浜スタジアムで毎日のように顔を合わせていたが、今季から私は巨人担当に替わり、辰哉さんも退職して独立。兄悠平のマネジメントを担うという新たな挑戦を始めた。

「毎日いろいろ考えていたら寝られないんですよ」

不安よりも高揚感をにじませながら言った。やりたいことは尽きないという。野球愛と故郷・福井愛。チャリティーイベントやコラボ企画、日本の野球の技術力を世界へ発信する構想まで、夢は壮大だった。兄と同様に明るく、愛されキャラの弟。兄弟ともにWBCで目指す先も一緒だ。辰哉さんは「とにかくケガせず、世界一になってほしい。全力で応援します」と願った。宮崎での思わぬ再会に、代表の舞台が持つ縁の広がりを感じた。挑戦を続ける姿に刺激を受けながら、私もまた「中村兄弟」のこれからを楽しみにしたい。【小早川宗一郎】