◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スピードスケート(20日、ミラノ・スピードスケート競技場) 女子1500メートルが20日に行…
◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スピードスケート(20日、ミラノ・スピードスケート競技場)
女子1500メートルが20日に行われ、同種目世界記録保持者で2大会連続銀メダルの高木美帆(31)=TOKIOインカラミ=は1分54秒86で6位にとどまり、3大会連続の入賞もメダル獲得はならなかった。今大会ラストとなった4種目、6レース目。金メダル獲得を目指した本命種目で課題のラスト1周を克服できず。悲願の頂点までは0秒77届かなかった。アントワネット・ライプマデヨング(オランダ)が1分54秒09で優勝した。
高木の4度目の五輪は悔し涙で締めくくられた。世界記録を持つ1500メートルでまさかの6位。最終組を滑り、結果を確認するとヨハン・デビット・コーチ(46)の胸で40秒以上号泣した。「自分の挑戦は終わった」。この種目の金メダルだけを目指し続けた4年間が幕を閉じた。
攻めのレースを貫いた。「守りより攻めの方がタイムが出やすい。勝ちたい」と最初の300メートルを全体2位の24秒96で入った。700メートルまでは「今シーズンの中で一番良かった」。300メートル、700メートルの通過タイムはともに過去の五輪2大会を上回り、1100メートル通過は優勝者よりも速かったが、課題としてきた最終周でラップタイムが2秒59も失速。リードを守り切れず、0秒77差で悲願の金メダルはつかめなかった。
何度も口に出してきたラスト1周の失速率は改善できなかった。結果的にメダリスト3人は全員、長距離型の選手でラップタイムの下げ幅が1秒台で順位を上げていた。自身のラスト200メートルは「ほぼ無心だった。つらかった」と上体が起き上がり、ホームストレートの滑りは大きく乱れた。
22年北京五輪後、現役引退も考えた。だが約6年も世界記録を維持する本命種目で、金メダルという忘れ物を取りにいくために競技を続けた。思うような結果が残せず苦しい時期も長かったが「どんなにしんどくても、最後に自分の気持ちをとどめていたのは1500メートルの存在」と原動力になってきた。
1500メートルはスピードと持久力の両方が必要な種目だ。近年は長距離を強みとする海外勢も台頭し、よりスタミナが必要になっている。そんな現状に「翻弄(ほんろう)されている」と苦笑いを浮かべていたが、この種目の楽しさも語っていた。「最小限のエネルギーで最大スピードを出す。そのままどこまで失速させないでゴールまでいけるか。そういうスケーティング自体が好き」。最も繊細な種目だからこそ、やりがいも大きかった。
4度目の挑戦は銅メダル3個で終わったが、4年間の努力は無駄ではなかった。今後は3月上旬の世界選手権(オランダ)出場へ準備する。「気持ちが折れずにここまで来れたところは、よく頑張ったなと思う。でも、頑張ったで終わらせたくないっていう気持ちもあったので、最後まで結果を取りにいった」。魂の滑りで最後まで金メダルを目指し、深々と一礼をしてリンクを後にした。12日間で4種目6レースとハードな五輪をこなしたエースの顔は、どこか吹っ切れたようだった。(富張 萌黄)