2022年北京五輪を最後に引退した高木美帆の姉・菜那さん(33)は、テレビの解説者としてリンク脇からレースを見守った。…
2022年北京五輪を最後に引退した高木美帆の姉・菜那さん(33)は、テレビの解説者としてリンク脇からレースを見守った。
「試行錯誤しながら、成長しながら、戦ってきたと思いますけど、この五輪までに、『粘る』という〝ピース〟をはめきれなかったのかな」と妹の滑りを振り返った。
現役を退き、初めて異なる立場で五輪までの時間を過ごしてきた。印象に残っているのは、妹がそれまで見せることのなかった姿だという。
「北京五輪までは『勝ちたい』と言う子じゃなかった。金メダルを取りたいとか、勝ちたいとは言わずに戦ってきた子が、そこを目標に掲げ、声に出して戦ってきた。相当な覚悟だったのだろうなと思います」
五輪シーズンを迎えた昨秋、妹の調子は上がらなかった。「どうなるのかな……」と周囲が心配するほどの精神状態に陥っていたという。
「どんどん時間が迫ってくる、五輪が近づいてくるけど、先が見えない時間が続いていく。それは非常に怖いと思う。でも、そこからちゃんと自分と向き合って、戦い抜いたなって思います」
レース後には、涙を流す妹を抱きしめた。菜那さんも泣いていた。
「強い美帆をずっと見せてきてくれた。きっと、つらい時も人には見せず、ずっと戦ってきた。もう、強くあり続けなくてもいいよ」
そんな思いを伝えたかった。(松本龍三郎)