ダービージョッキー大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」――今年最初のGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)が2月22日…
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
――今年最初のGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)が2月22日に行なわれます。同レースへの思い入れ、思い出などはあったりしますか。
大西直宏(以下、大西)現役時代、この時期はほぼ毎年、冬の小倉開催に現地滞在でフル参戦していました。そのため、自分はこのレースにはほとんど縁がなかったんですよね。
ともあれ、当時はまだ、現在ほどダート路線が整備されておらず、番組編成も芝のレースが主体でしたが、時代の流れとともにダート路線のレース環境も改善。地方交流重賞などを含めて、レース体系も整ってきました。そうやって、ダートを主戦場とする馬たちの活躍の場が広がったことは、非常に喜ばしいことだと感じています。
――フェブラリーSの舞台となるのは、東京・ダート1600m。同コースの特徴について教えてください。
大西 最大の特徴は、スタート地点が"芝"であること。それがもうひとつのダートGI、中京競馬場で行なわれるチャンピオンズカップ(ダート1800m)との一番の違いです。オールダートのコースだと、スタート直後に脚を取られてつまずく馬も結構いるのですが、芝スタートならそのリスクをかなり軽減することができます。
それから、最初のコーナーまでの距離が長いこともポイントのひとつ。芝からダートコースに入る際の"切れ目"では注意が必要ですが、バックストレッチが長い直線ゆえ、ポジション争いで極端にごちゃつくようなことはそれほど多くありません。
――ということは、レース前半でアクシデントが起きにくく、フェアな力勝負になりやすい舞台と言えるのでしょうか。
大西 そのとおりです。ある程度の操作性を備え、能力がある馬であれば、不安要素が少なく、自信を持って乗れるコースと言えます。
個人的にはJRA全10場のダートコースのなかで、この東京・ダート1600mが最も乗りやすい舞台だと思っています。
――さて、今年の出走メンバーをご覧になっての率直な印象を聞かせてください。
大西 先日、フォーエバーヤングが海外GIのサウジカップ(2月14日/キングアブドゥルアジーズ・ダート1800m)で強い内容の競馬を見せて連覇を達成。同馬は現時点の「ダート世界最強馬」として、別格の存在にあると言えます。
それほどの馬がいるとあって、例年であれば、サウジカップやドバイワールドカップ(メイダン・ダート2000m)に挑戦していたであろう馬たちの多くが、今年は国内に留まって(国内の)大舞台に向けて牙を研いできた印象。そうした実力馬たちの参戦によって、昨年よりもバラエティに富んだ、非常に充実した顔ぶれがそろったように思います。
――現時点で、大西さんが中心視しているのはどの馬でしょうか。
大西 チャンピオンズカップ(12月7日)で戴冠を遂げたダブルハートボンド(牝5歳)です。牝馬による制覇は10年ぶりでしたが、正攻法の競馬で最後の激戦を制したあの勝ちっぷりは、実に堂々たるものでした。
同馬にとって、今回は初めてのマイル戦になりますが、先にも触れたとおり、東京・ダート1600mは総合力の高い馬であれば、ポジションも取りやすく、能力を存分に発揮しやすいコースです。マイルに対応できるスピードも十分に備えています。
鞍上は、3年前にレモンポップを勝利に導いた坂井瑠星騎手。坂井騎手はレモンポップでチャンピオンズカップ連覇(2023年、2024年)も果たしており、同じ馬で国内のふたつのダートGIを制している経験があることも、大きな強調材料になります。
――そのダブルハートボンドを脅かす存在、「打倒ダブルハートボンド」が期待できるような伏兵候補はいますでしょうか。
大西 ダブルハートボンドにとっては今回、連覇を狙うコスタノヴァ(牡6歳)や、チャンピオンズカップで3年連続の惜敗(2着)となったウィルソンテソーロ(牡7歳)など、実績十分のライバルが多数そろっています。予想の切り口次第で狙い馬が変わってきそうなメンバー構成にあって、人気薄で目が行くのはオメガギネス(牡6歳)です。
フェブラリーSでの大駆けが見込まれるオメガギネス
photo by Sankei Visual
――オメガギネスは好走と凡走との差が激しく、少しアテにしづらい面がありますが、どのあたりに魅力を感じていますか。
大西 4歳時に挑んだ一昨年のレースでは1番人気に推されながら14着と大敗。年長馬の厚い壁に跳ね返される格好となりました。しかしそこからキャリアを重ね、転厩も経て、今回は心身ともにたくましくなっての再挑戦です。
4走前のGⅢ東海S(7月27日/中京・ダート1400m)から岩田康誠騎手とタッグを組むようになって、それまでの正攻法の競馬から、道中で脚をタメる戦法へとモデルチェンジ。コンビを組んで2戦目のリステッド競走・グリーンチャンネルカップ(10月4日/東京・ダート1600m)では、60kgの酷量を背負いながら鮮やかな差し切り勝ちを決めました。後続に4馬身差をつけての圧勝劇には驚かされました。
前走のGⅢ根岸S(2月1日/東京・ダート1400m)では4着でしたが、あくまでも本番へ向けての叩き台。中団より後方でじっくりと脚をタメて、直線でインを突く内容から(本番へ向けての)収穫を得られたはずです。
1枠1番という好枠に入ることもできました。ロスなく立ち回って、最内から馬群を縫って強襲してきたグリーンチャンネルカップでのレースぶりが再現できれば、勝ち負けに加わってくる可能性は大いにあるでしょう。
ということで、フェブラリーSの「ヒモ穴」にはオメガギネスを抜擢したいと思います。