昨季まで巨人2軍監督を務め、今季からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任した桑田真澄氏(57…
昨季まで巨人2軍監督を務め、今季からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任した桑田真澄氏(57)。静岡県伊豆市で春季キャンプをスタートさせ、新興球団の育成や強化などを目指している。元巨人軍エースの「新たな挑戦」の現在地に迫った。
静岡県の伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」。そこから車で約15分。山の上に志太スタジアムはある。野球場に隣接するサッカー場、室内練習場もあり、敷地は広大。自然に囲まれた、のどかな場所。ジャージー姿でオイシックスの帽子を着用した桑田CBOは記者を見かけると、朗らかな笑みを浮かべ「のんびりしてるでしょ」と語った。
場所は変わっても“桑田流”は変わらない。練習中は、巨人2軍監督時代と同様に二塁や外野の守備位置で選手の練習をサポートし、見守る。2月中旬のこの日は、紅白戦が行われ、試合中は二塁ベース付近から選手に熱視線を送った。時には投手陣に身ぶり手ぶりで直接指導も行った。
昨年10月に巨人を退団。12月にオイシックスのCBO就任が発表され、「また新たな挑戦をしたいなと思いまして」と決意表明した。昨年までの5年間、巨人で2軍監督など指導者としての経験を積み、「その全てをオイシックスに注入していきたい」と語った。
2軍公式戦に参加するオイシックスは、勝率5割以上でのAクラスと、観客動員数の増加を目指している。桑田CBOは、育成とチーム強化という両立が難しいテーマにも挑む。「サイエンス」「バランス」「リスペクト」がキーワード。これに“機動力”もプラスされる。「僕が来たからって、すぐ勝てるわけじゃないんですけど。一つずつ、きっちりできるチームにしていきたい。隙のない野球をやるとかですね」と、取り組みの一端を明かす。
昨季、巨人2軍はイースタン・リーグ優勝を成し遂げたが、原動力の一つは138の盗塁数であり、これはイ・ウ両リーグトップの数字だった。昨季、巨人2軍と公式戦で対決したオイシックス・武田勝監督は「去年、桑田さんが2軍で監督やられている時に、うちがまんまとやられた作戦。ピッチャーを早い回に降板させられているイメージがある。今度は、うちが取り入れて相手にプレッシャーを、かけられるチームにしていきたい」と説明する。
24年からNPBの2軍に新規参加している新興球団。桑田CBOは就任以来、多くの意見を口にしてきた。「現場でもたくさんしてます。アップの仕方から、ミーティングの仕方から提案してます。『こうした方がいいと思うけど』ということと、『こうするべきだ』というのがある」。時に厳しい口調になるのは、オイシックスのためを思う“親心”でもある。
キャンプ地のグラウンドを眺めながら言う。「フロントも、環境もまだまだ改善しなきゃいけないと思います。グラウンドの整備も本来は、専門職が来てやるべきだと僕は思うんです。球団が準備しないといけない。プロの球団として最低限の環境は整えなきゃいけないと思う」。連日、自らグラウンドに水まきをし、ほうきを持って整備をしてきた。ただ、NPB12球団と同じようにグランド整備も“プロ”の専門職が務めるべきもの-。求めるハードルは高いが、少しでもプロの球団として成長してほしいという思いがある。
これまでも選手に寄り添う指導をしてきたが、ナインへ向けるまなざしは温かい。「選手はよくやってますよ。一生懸命やっている姿を見て、何とか彼らのレベルを上げたいなと思ってます」。巨人軍のエースに君臨した名投手が目指す「新たな挑戦」。桑田CBOらしく、効率良くコツコツと育て、じっくりとチームを強化し、熟成させるのかもしれない。
◆桑田 真澄(くわた・ますみ)1968年4月1日生まれ、大阪府出身。57歳。現役時代は174センチ、80キロ。右投げ右打ち。PL学園では1年夏から甲子園に5大会連続で出場し、通算最多の登板25試合、20勝、150奪三振。85年度ドラフト1位で巨人に入団し通算442試合、173勝141敗14セーブ、防御率3・55。87年にベストナインと最優秀投手賞、沢村賞。94年にMVP。07年はパイレーツに所属した。その後は巨人に戻り、コーチや2軍監督を歴任。