2球団で通算503試合に登板…新天地はメキシコへ ソフトバンクから構想外通告を受けていた又吉克樹投手が16日(日本時間1…
2球団で通算503試合に登板…新天地はメキシコへ
ソフトバンクから構想外通告を受けていた又吉克樹投手が16日(日本時間17日)、メキシカンリーグのユカタン・ライオンズと契約を結んだと同球団が発表した。プロ入りしてから今季で13年目。海を渡ってマウンドに立つ決断をくだした。ひたすらオファーを待った4か月間。「先が見えない状態はキツかったです」と、本音を漏らした。
2025年は1軍登板なし。ソフトバンクから構想外が発表されたのは9月30日だった。11月12日にマツダスタジアムで行われた合同トライアウトにも参加するなど、靴底をすり減らして道筋を探した。チャンスを見出したのが、海外の球界だ。「韓国も台湾もテストを受けたんですけど、結果的にニーズが合わなかった。『どうしようか』と思っていたところで、メキシコが興味あるっていう話をもらったので、進路が決まった感じです」。
高校、大学、独立リーグを経て2013年ドラフト2位で中日に入団した。さまざまなステージを経験したからこそ「どうせやるなら海外でやりたい気持ちが強かった」という。まだ見ぬ景色を求めて、海を渡る。思い出したのはプロ1年目のオフ、ドミニカ共和国でのウインターリーグに参加した日々だった。
「いろんな選手がいたんですけど、『いい契約を取るんだ』っていうハングリーさがすごかったです」。メジャーリーグを目指し、人生をかけてプレーする選手たちを目の当たりにした。胸に刻んだ貪欲さこそ、又吉自身がずっと大切にしている気持ちだ。「独立リーグからプロ入りして、FAでの移籍も経験した。そこまでのストーリーは自分で作れたからこそ、知らないところで野球がやりたいと思っていたんです」。その身に起こる全てが財産になるはず。ともにチャンスを探し続けてくれた周囲の人たちには、感謝しかない。
構想外通告から「1か月を超えてくるとキツかったです」
通算503試合に登板して47勝、173ホールド。12年間で、リリーフとしての地位を築き上げた。実績十分の右腕が構想外通告を受けて、昨年の10月以降はオファーを待つ日々。現役続行への強い意欲があるからこそ、苦しかった。スマートフォンを眺めて、着信に一喜一憂した。
「最初の1週間、2週間は『どこかあるんじゃないかな』ってプラス思考でいられたんです。でも1か月を超えてくるとやっぱりキツかったです。僕の場合は、『いつまでにオファーがなかったらやめます』っていう期限も決めていなかったので、先が見えない状態でした。電話が来たら“おっ!”って思ったし、知らない番号でも出てみたら全然違う人ということもありました。実際に(戦力外に)なってみたらこれだけキツいんやなって」
トークショー出演などはあったが、今年の1月から野球選手としての収入がなくなり、“無給”という状況になった。トレーニングは全て自費。ハードな練習を課すために、自己投資は惜しまなかった。「9月の時点で『来年から(収入は)ないんだな』って覚悟はしていたけど。あらためてお金を稼ぐって難しいんだなと思いましたね」。キャリアの窮地に立たされたが、絶対に諦めなかった。日本からメキシコに舞台を変えて、納得がいくまで腕を振るつもりだ。
中日、ソフトバンクで過ごした12年間。多くのファンに支えられた。新天地が決まった節目に送る感謝の言葉――。「『まだやれたな』と思ってやめたくないし、ピッチャーはぶっ壊れたら終わりなので。まだまだしつこく野球をやり続けたいです。今の自分にメキシコで学んだことをプラスして、人間的に成長できるように頑張ります」。又吉はこれからもマウンドに立ち続ける。目の前の景色を、少しずつ変えていくために。(竹村岳 / Gaku Takemura)