<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇19日(日本時間20日)◇女子フリー◇ミラノ・アイススケ…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇19日(日本時間20日)◇女子フリー◇ミラノ・アイススケートアリーナ

今季限りで現役引退の坂本花織(25=シスメックス)が、涙の銀メダルで五輪に別れを告げた。ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーも2位の147.67点。合計224.90点で金メダルのアリサ・リュウ(米国)に1.89点届かなかった。

1.89点差は、どこにあったのか。

坂本はショートプログラム(SP)で2位。3位リュウに0.64点差をつけていた。

リュウはフリーで150.20点、合計226.79点をマークして暫定1位に。

坂本がリュウを上回るには、フリーで149.57点が必要だった。

坂本のフリー今季ベストは150.13点、自己ベストは155.77点。

ノーミスであれば、逆転は可能だった。

前半はミスなく演技した。

運命の分かれ目は、ジャンプの基礎点が1.1倍になる演技後半。

7回の機会があるジャンプの6本目だった。

フリップ-トーループの連続3回転ジャンプ。

最初のフリップでわずかな乱れがあり、後半の3回転トーループをつけられなかった。

コンビネーションジャンプではなく、単発の3回転フリップとなった。

3回転トーループの基礎点は4.20点、この場合は演技後半のため、4.62点。その分が丸々なくなった。

そして単発となった3回転フリップは、演技の前半にすでに跳んでいた。

同じジャンプを繰り返すと基礎点が30%減る。

後半の3回転フリップは、基礎点5.30点、この場合は演技後半のため、5.83点になるところが、重複ジャンプのため得点が7割となって4・08点。

30%にあたる1.5点を失った。

3回転トーループをつけられなかったことで、失った基礎点は6.37点となった。

ただリカバリーのチャンスはあった。

最後の7本目、3回転ループの後ろに跳べなかった3回転トーループをつけて、連続ジャンプにする選択肢。

これを跳べば、3回転トーループの基礎点4.62点(演技後半)がプラスされて、逆転は可能だった。

ただ、連続ジャンプが成功するかどうかに加えて、違うリスクもあった。

フィギュアスケートでは、秒単位でプログラムが組まれており、予定になかったジャンプを加えると、演技が遅れてしまい、その後の技の完成度に影響する。

3回転ループのあとに、残っていたのは2つのスピン。

仮に3回転トーループをつけて成功させても、スピンを回る時間が少なくなって、レベルを落とせば、得点が下がる。

リカバリーの3回転トーループをつけるのか、スピンの完成度を優先するか。

坂本の選択は「確実に決めよう」というジャンプ回避による完成度の重視。

演技終盤のスピンは、2つとも最高評価のレベル4。

基礎点に加えて、出来栄え点も1.05点、1.15点と合計2.20点の加点があった。

ただ結果論ではあるが、スピンの加点は、失った3回転トーループの基礎点4.62点を取り戻すまで至らなかった。

坂本はフリップ-トーループの連続3回転を得点源としてきた。

だが最初のフリップのわずかな乱れが、4年に1度の最高峰を争う舞台で、金メダルと銀メダルを分けた。