2026年のJリーグが開幕し、特別リーグとなる百年構想リーグが始まった。PK戦が導入されるなど、目新しい大会ではあるが…

 2026年のJリーグが開幕し、特別リーグとなる百年構想リーグが始まった。PK戦が導入されるなど、目新しい大会ではあるが、他にも目を引くことがある。日本サッカーの発展を示すセンターバック(CB)の成長について、サッカージャーナリスト後藤健生がつづる。

FC東京が土壇場で勝点獲得

 特別シーズンの「J1百年構想リーグ」が開幕。第2節では味の素スタジアムでFC東京対浦和レッズの試合を観戦した。

 前半はFC東京の守備陣が巧みに浦和のパス回しを分断してゲームを支配。シュート数でも6本対2本と上回ったがチャンスを決めきれず、逆にFKから浦和に押し込まれる場面もあったが、これは8分を上回る長~いVARの結果、オフサイドと判定されてゴールは取り消された。

 しかし、後半に入ると前半はトップ下的なポジションにいた渡邊凌磨のポジションを上げた浦和が長いボールを使って攻撃の圧力を強めて互角の勝負となり、78分には左サイドをドリブルで突破したマテウス・サヴィオのクロスからの跳ね返りを渡邊がシュート。これがDFに当たってゴールに飛びこんで浦和が先制した。

 その後は、浦和がFC東京の反撃を抑え込んで1点を守り切るかと思われた。だが、アディショナルタイムに入った93分に東京の左サイドバック橋本健人のクロスをゴール前で受けた山田楓喜が落ち着いて決め、FC東京が土壇場で同点とした。

 そして、PK戦に突入すると浦和の2人目のマテウス・サヴィオが外し、東京がPK勝ちで勝点2を手に入れた。

 FC東京は開幕節でも鹿島アントラーズと引き分けてPK戦で勝利しており、2試合を終えて0勝2分0敗ながら勝点を4に伸ばした。一方の浦和は1勝1分0敗でありながらFC東京戦がPK負けになったため、勝点はFC東京と同じ4に終わっている。

 引き分けでも勝点2を獲得できる、今シーズン独特のルールがあるからだ。

 通常のリーグ戦では引き分けチームには勝点1ポイントが与えられる。つまり、引き分けは勝利(3ポイント)の3分の1の価値しか認められないのに対して、「百年構想リーグ」ではPK戦に勝利すれば引き分けは勝利の3分の2の価値となるのだ。

■同点弾演出の立役者たち

 今回、このコラムで取り上げたいのは「PK戦の是非」というテーマではない。

 注目したのはFC東京が同点ゴールを決めた場面についてである。

 93分の同点ゴールは、東京の松橋力蔵監督が交代で送り込んだ橋本健人と山田の2人によってもたらされたものだ(東京側は交代としてMFの橋本拳人とSBの橋本健人が出てきた!)。交代選手によってギアを上げられるというのは、チームにとっては大きなメリットとなる。

 さらにこの同点ゴールの起点をつくったのは、左センターバック(CB)の稲村隼翔だった。

 稲村が左サイドを走る橋本健人に右足で正確なグラウンダーのパスを供給し、これを受けた橋本健人がドリブルで持ち込んでファーサイドの山田に長いクロスを送ったのである。

 稲村は、2002年生まれの23歳。

 FC東京のアカデミー(深川)育ちで前橋育英高校から東洋大学を経てアルビレックス新潟入り。昨年夏にスコットランドのセルティックに完全移籍したものの出場機会に恵まれず、今シーズンからFC東京にレンタルで加わったCBだ。

■何度も見せつけていた「武器」

 その稲村は、開幕節の鹿島戦から先発で起用され、アレクサンダー・ショルツとCBでコンビを組んでプレーしていた。そして、同点ゴールの場面だけでなく前半から何度も正確なキックを見せていた。

 最大の特徴は、正確なキック能力を生かしたストレート系のボールによるロングフィードだろう。

 たとえば、前半41分には稲村から左サイドハーフの遠藤渓太までダイアゴナルなパスがつながり、長友佑都とクロスしながら遠藤がドリブルで持ち込もうとして相手のファウルを誘ってFKにつながった場面があった。

 後半に入った67分にも、稲村は右サイドのタッチライン沿いを駆け上がる佐藤恵允の前にスペースを見つけて長距離パスを通した。この場面はチャンスにはつながらなかったものの、正確なロングボールには目を見張るものがあった。

 だから、93分の同点ゴールの場面もまったく意外なプレーではなかったのだ。

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