◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽フィギュアスケート(17日、ミラノ・アイススケートアリーナ) 【ミラノ(イタリア)17日=大…
◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽フィギュアスケート(17日、ミラノ・アイススケートアリーナ)
【ミラノ(イタリア)17日=大谷翔太】女子ショートプログラムが行われ、初出場の17歳、中井亜美(TOKIOインカラミ)が自己ベストの78・71点をマークし首位に立った。冒頭でトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決め、勢いに乗った。五輪での日本女子のトリプルアクセル成功は伊藤みどり、浅田真央、樋口新葉に続く4人目。浅田真央の19歳を超え最年少となった。17歳で表彰台なら、同競技では2010年バンクーバー大会銀の浅田真央の19歳を2歳下回り、最年少となる。
五輪の魔物も重圧も、この17歳にはかなわない。中井は会心の演技に8度、拳を突き上げた。喝采を浴びながら出た得点は、78・71点の自己ベスト。坂本花織が団体SPで出した今季世界最高に、0・17点差と迫った。「正直、ビックリしていますし、この大舞台でもこれだけの演技ができたことをすごく嬉(うれ)しく思っています」。自分がビックリした以上に、周囲をビックリさせた。
シニア1季目で歴史を作った。SPは「La strada(道)」。赤と白のストライプの衣装で滑り出し、その25秒後。踏み込んで跳んだ3回転半、右足でしっかりと氷に降りた。わき上がる1万人の大歓声。ハツラツな笑顔と躍動感あふれる演技で、会場を虜にした。ジャンプは3回転ルッツ―トウループなど3本全てを成功。五輪では伊藤みどり、浅田真央、樋口新葉に続く日本女子4人目のトリプルアクセル成功となった。「今、夢がかなったくらいの嬉しさがある」。最大の武器を、大一番でみせた。
スケートを始めたのは5歳。2010年バンクーバー五輪、当時19歳の浅田真央が跳んだトリプルアクセルの映像に魅せられた。浅田さん、そして五輪2連覇の羽生結弦さんの本をこの五輪にも携帯し、試合前に目を通した。大会前には、ユーチューブで先輩たちの演技を見てイメージトレーニング。「いつも通り気持ちが落ち着いて、自信が自然とあふれてくる」と中井。初舞台を前にも「失うものは何もない」と言った度胸を、ミラノの銀盤で見せつけた。
元世界女王の坂本、現世界女王のアリサ・リュウ(米国)を抑えての首位発進。中井を中学から指導する中庭健介コーチ(44)は「よく演技できますね…。僕だったら、できていないです」と額の汗を拭った。もっとも中井は、五輪デビューを控え眠りにつけたかを問われると「余裕で寝られました!」とケロリ。代表最年少とは思えない強心臓っぷりだった。
17歳で五輪メダルなら、バンクーバー五輪で浅田真央が銀メダルを取った19歳を超える日本フィギュア最年少。優勝すれば、女子では2006年トリノ五輪での荒川静香以来、2人目の快挙だ。中井は「正直、メダルが欲しいかと言われると、もちろん欲しいけど、そこまで結果を重視して今回の五輪に来ているわけではないので。この五輪をどれくらい楽しめるか、最後の瞬間まで、本当に楽しめたらいいなと思います」。恐れ知らずの高校2年生が、ミラノの主役を担う。