【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって…
【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)
◆低額配当決着となった年がかなり多い点に注意したい
AIマスターM(以下、M) 先週は京都記念が行われ、単勝オッズ15.9倍(6番人気)のジューンテイクが優勝を果たしました。
伊吹 鞍上の藤岡佑介騎手は2026年度の調教師免許試験に新規合格しており、今年の3月3日にジョッキーを引退する予定。個人的な話で大変恐縮ですが、馬券的な相性がとても良い騎手のひとりでしたから、本当に感慨深いです。今回の京都記念は大外枠からの発走で、スタート自体はあまり速くなかったものの、序盤から積極的に好位を取りに行き、逃げたバビット(12着)のすぐ後ろ、単独2番手のポジションで1コーナーへ。向正面入り口でバビットをかわしにいくような動きも見せつつ、行きたがるバビットを先に行かせる形で一旦控え、3コーナーから4コーナーで再びバビットに並びかけています。そのまま後続を引き離すべく仕掛けていき、ゴール前の直線入り口で早くも単独先頭に。内からシェイクユアハート(4着)やリビアングラス(6着)が、外からエコロディノス(3着)やエリキング(2着)が伸びてくる中、難なくセーフティリードを保ったまま決勝線に達しました。12頭立ての単勝6番人気という、比較的気楽な立場だったことを度外視してレースを振り返ってみれば、真っ向勝負の正攻法でライバルの持ち味を封じた形。着差以上の完勝と言って良いかもしれません。
M ジューンテイクは3歳時の京都新聞杯に続く自身2度目の重賞制覇。その京都新聞杯と同じコースで施行されるレースということもあり、積極的に狙おうと考えていた方も多かったのではないでしょうか。
伊吹 何を隠そう、私もそのひとりです。先週の当コラムをご覧いただくとわかりますが、レースの傾向からも不安要素が比較的少ない一頭で、最終的に重いシルシを打ちました。鞍上のファインプレイもあったとはいえ、これだけ危なげなくエリキングらに先着したわけですから、やはり古馬の芝中長距離路線においては実力上位の存在と言えます。
M これだけの走りができるのであれば、今後も目が離せませんね。
伊吹 2200mの重賞しか勝っていないとはいえ、2歳時には1マイル戦の朝日杯FSで小差の4着に健闘した実績もある馬。もう少し短い距離やもう少し長い距離にもある程度は対応できるのではないでしょうか。もともと注目を集めにくいタイプで、この先も人気の盲点となる場面がありそう。狙い時を逃さないよう、しっかりマークしておきたいところです。
M 今週の日曜東京メインレースは、今年最初のJRAGI、ダートチャンピオン決定戦のフェブラリーS。昨年は単勝オッズ4.3倍(2番人気)のコスタノヴァが優勝を果たしました。ちなみに、その2025年は単勝オッズ7.0倍(5番人気)のサンライズジパングが2着、単勝オッズ3.3倍(1番人気)のミッキーファイトが3着という結果で、3連単の配当は1万3510円にとどまっています。
伊吹 2024年に3連単153万500円の高額配当が飛び出したとはいえ、過去10回のうち半分の5回は3連単2万円未満の決着。堅く収まりがちなレースと見ておいた方が良いかもしれません。
M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気馬は3着内率8割とかなり堅実です。
伊吹 より実態に即した形で2番人気以下の馬を分類してみると、単勝2番人気から単勝5番人気の馬は2016年以降[5-6-3-26](3着内率35.0%)、単勝6番人気から単勝9番人気の馬は2016年以降[0-1-4-35](3着内率12.5%)、単勝10番人気以下の馬は2016年以降[1-1-1-65](3着内率4.4%)となっていました。伏兵をピックアップできるかどうかはもちろん、上位人気グループの各馬を的確に評価できるかどうかも重要なポイントと言えるでしょう。
M そんなフェブラリーSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ウィルソンテソーロです。
伊吹 ある意味、ちょっと意外なところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成ならかなりの支持が集まるはず。
M ウィルソンテソーロは2024年のJBCクラシック、2025年のマイルCS南部杯と、GI級競走を2勝している実績馬。前走のチャンピオンズCでも、勝ち馬ダブルハートボンドとハナ差の2着に健闘しています。8歳のシーズンを迎えたとはいえ、加齢の影響を心配する必要はなさそう。中心視しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
伊吹 人気薄の馬を狙うことも多いAiエスケープがこの馬を挙げてきたということは、今回は妙味ある伏兵が見当たらなかったのかもしれませんね。堅く収まる可能性が高いのであれば、それに合わせた買い目作りを心掛けたいところ。ウィルソンテソーロの信頼度を測るべく、これまでの戦績やプロフィールを好走馬の傾向と見比べていきたいと思います。
M 真っ先に注目するべきポイントはどのあたりですか?
伊吹 まずはJRAの馬場に対する適性をチェックしておきたいところ。2021年以降の3着以内馬15頭中14頭は、JRAの重賞で“着順が1着、かつ4コーナー通過順が3番手以下”となった経験のある馬でした。
M なるほど。地方の重賞しか勝っていない馬は疑ってかかった方が良いかもしれませんね。
伊吹 おっしゃる通り。また、先行力の高さを生かしたいタイプも基本的には過信禁物と見るべきでしょう。
M ウィルソンテソーロは厳密に言うとこの条件をクリアしていませんが、先程も触れた通り前走のチャンピオンズCでハナ差の2着となった馬。当時の4コーナー通過順は6番手でしたし、あまり心配しなくて良いような気がします。
伊吹 あとは直近のパフォーマンスも素直に評価した方が良さそう。同じく2021年以降の3着以内馬15頭中13頭は、前走の着順が1着、もしくは前走の1位入線馬とのタイム差が0.9秒以内でした。
M 大敗直後の馬は割り引きが必要ですね。
伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている実績馬が何頭かいるので注意しましょう。
M 再三触れているように、ウィルソンテソーロは前走で勝ち馬とハナ差の2着に好走したばかり。臨戦過程に不安はありません。
伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬15頭中8頭は、出走数が13戦以内の馬。一方、キャリア14戦以上だったにもかかわらず3着以内となった7頭のうち5頭は、キングカメハメハ系種牡馬かストームキャット系種牡馬の産駒でした。
M こちらもはっきりと明暗が分かれています。
伊吹 ちなみに、出走数が13戦以内の馬は2021年以降[4-2-2-7](3着内率53.3%)と非常に堅実。基本的にはキャリアが浅い馬を重視したいところです。
M ウィルソンテソーロはキャリア27戦で、父のキタサンブラックはキングカメハメハ系にもストームキャット系にも属していない種牡馬。この傾向を見る限りだとあまり強調できません。
伊吹 正直なところ、私は他の馬を連軸に据えるつもりでした。もっとも、出走数くらいしか大きな不安要素が見当たらないわけですし、Aiエスケープが有力と見ているのであれば、無理に嫌う必要はないでしょう。ウィルソンテソーロが上位に食い込んでもそれなりの利益を確保できるよう、ギリギリのところまで買い目を絞り込みたいと考えています。