(17日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート女子) 前日、坂本花織は報道陣の前で泣き出した。…

 (17日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート女子)

 前日、坂本花織は報道陣の前で泣き出した。

 「緊張でもなく、重圧でもなく、恐怖」。男子フリーの鍵山優真、ペアSPの三浦璃来、木原龍一組。日本のエースたちが続けて乱れていた。

 「ストイックな人たちでも予期せぬミスがある。自分もそうなるのでは」

 手も足も震えていた。

 一転、この日は「いい緊張感」でスタート位置につけた。演技前半のスピンを終えた頃には、「不思議なリラックスモードに。今この瞬間を満喫しようと滑った」。スケートを始めてから21年。初めての感覚だった。

 前日の夜、「りくりゅう」のフリーを観戦した。「頑張ってカオちゃんに良いバトンを渡すからね」。そう言い残して銀盤に立った2人が、大逆転劇を演じた。

 金メダルに感動する余り、自身の不安はどうでもよくなった。「黄金のバトンを届けてくれた。自分も行ける気しかしなくなった」

 この日、キス・アンド・クライで得点を待つ間、応援に来た三浦、木原組の姿が会場のモニターに映ると、ハートのポーズを作った。

 トップには初出場の中井亜美が立った。「日本(の将来)は安泰。追いかける立場でいさせてくれて亜美ちゃんに感謝です」。でも、総合1位を譲るつもりはない。バトンを握って、先頭でゴールテープを切りにいく。(内田快)