(17日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート女子) リンクをぐるりと囲む今大会のクッションは…
(17日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート女子)
リンクをぐるりと囲む今大会のクッションは、分厚い。
坂本花織はいつも、中野園子コーチに背中をたたいてもらってから演技に向かうようにしてきた。だが、この会場ではかなわない。
代わりに、クッション越しに伸ばした右手をタッチしてもらった。
中野コーチには4歳でスケートを始めてからずっと教わってきた。背中を押してもらえないのは「初めて」。
それでも、今季限りでの引退を決めている25歳は、1人で十分に大舞台の緊張に打ち勝てる。柔らかい表情で滑り始めた。
現役最後を飾るSP曲には「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」を選んだ。
「曲名は『サヨナラ』みたいな感じだけど、次の自分に向けて進んでいくという感じ。決して終わりじゃない」
すいすいと氷を滑らかに坂本は進んでいく。「自分の伸びのあるスケートができるプログラム」。何度もタッグを組み、坂本を深く知る振付師リショーによって、坂本の持ち味が強調されるように心を配ってつくられたものだ。
一蹴り、一蹴りを坂本は満喫していた。「滑る間、すっごく楽しくて。たぶん、めちゃ笑ってたと思う」。あっという間の約2分40秒。大きなミスもなく終えると、両手を突き出した。
首位の中井亜美とは小差の77.23点。集大成の大会で、金メダルが見えている。(内田快)