<4年生たちが歩むそれぞれの道>大学野球に励んだ4年生たちが、今春卒業を迎える。彼らの進路を「4年生たちが歩むそれぞれの…

<4年生たちが歩むそれぞれの道>

大学野球に励んだ4年生たちが、今春卒業を迎える。彼らの進路を「4年生たちが歩むそれぞれの道」と題して紹介する。初回はAIを駆使して運動・教育支援を手がける「株式会社psytech.life(サイテックライフ)」を起業した早大の堀越健太投手(22)と、ITサービスを中心に手がける「honkoma」を野球部在籍中の昨秋に立ち上げた東大の林拓海学生コーチ(23)、中島幸祐アナリスト(22)。

大学卒業後も野球を続けるか、違う道を選ぶか-。決断を迫ったのは、4年間を陰ながら見守ってきた恩師だった。「株式会社psytech.life(サイテックライフ)」を起業した早大の堀越健太投手(22)は、早大・小宮山悟監督(60)の言葉で野球との踏ん切りを付けた。4年春リーグ早慶戦後だった。監督に進路を報告する個別面談まで、ずっと心は揺れていた。

「起業するか、どこでもいいからセレクションを受けまくって野球を続けるか決められなくて。『どうしたらいいですか』と聞きに行ったら、小宮山監督の『俺が引導を渡す形だったら、お前もやめられるだろう』という言葉に震えたんです」。4年間の努力を見てきた恩師はさらに「バイトしながら30歳になっても野球をやってるとなったら、俺はお前のお父さんとお母さんの顔を見れなくなるし、足を向けて寝れない」と言われて胸が熱くなった。大学で野球を辞める決意が固まった。

偏差値70を超える宇都宮高出身。筑波大と早大に一般入試で合格したが「小宮山監督の下で野球がしたい」と入学を決めた。最速138キロで入部してきたが、4年間経っても自己最速は変わらなかった。2年時には左足の肉離れをきっかけに地面に足をつくことの怖さを覚え、イップスを発症。マウンドから投げることがおぼつかなくなり、感覚を取り戻そうと壁当てを繰り返した。自由に体が動かない。苦しかったが、最後まで逃げなかった。「今でも悔しい思いはありますが、早稲田にいた4年間が自分を成長させてくれた」と感謝を惜しまない。

起業の原体験は、故郷の栃木・那須塩原で感じたトレーナー不足だ。東大野球部の大原海輝内野手(22)ら東大生たちにも協力を受け「ゆくゆくは自分たちが開発したアプリを使えば、1000人を超える専門のトレーナーからの助言を得られるようなサービスを展開したい」と意気込む。事業をどんどん拡大し、企業価値10億ドル(約1550億円)超のベンチャー企業「ユニコーン企業」を目指す。【平山連】

◆堀越健太(ほりこし・けんた) 2003年(平15)6月23日、栃木・那須塩原市生まれ。宇都宮を経て、早大へ。野球部での活動を通じて「環境と仕組みが人の行動を決定づけること」などを実体験として学び、ビジネスの世界に応用しようと起業。リーグ戦出場はなし。右投げ右打ち。