フィンランド発祥のスポーツ「モルック」。木の棒(モルック)を投げて、数字の書かれた12本の木のピン(スキットル)を倒す…
フィンランド発祥のスポーツ「モルック」。木の棒(モルック)を投げて、数字の書かれた12本の木のピン(スキットル)を倒す。倒したピンの数字や本数の合計が、ちょうど50点になったほうが勝ち。体力がなくても楽しめ、競技人口が急増中だ。茨城県常総市出身の落合剛さん(36)は一流選手をめざしつつ、普及にも努める。
モルックとの出会いは2020年夏。仲の良い友達に誘われたのがきっかけだ。いつものようにボウリングを楽しんだ後、住んでいたつくば市内の公園で夜、初めてモルックに興じた。
ボウリングのスコアは平均170~180。ピンを倒すのは似ているが、どのピンを倒すか、相手との駆け引きを楽しめる点がよりおもしろい。たちまちハマり、週末に数人の仲間を公園に集め、モルックを楽しむように。仕事を終えた夜から、気がつけば明け方になっていたこともあった。
やがて東京・池袋を中心に県外で、愛好家たちとの試合に出始めた。当時は競技人口が少なく、試合は3~4カ月に1、2回程度。対戦するのはいつも常連ばかりだった。
「頑張れば日本代表になれるかもしれない」。中学でサッカーをしていたが、高校は部活に入らなかった。ほかのスポーツはバドミントンやテニス、卓球をかじったぐらい。それが三十路(みそじ)でモルックに開眼すると、愛媛、大阪、山形など県外の試合を含めて年間50以上の大会にエントリー。実戦で技を磨いた。
すると23年度(23年8月~24年6月)には、日本ランキング1位に輝く。競技を始めて4年ほどで日本代表に選ばれ、24年8月には北海道・函館で開かれた国内初の世界大会に出場。13の代表チームが競う国別対抗戦で5位の成績を収めた。
日本モルック協会の調査では、国内の競技人口は推定約362万人(25年12月)。認知度が高まり、体験会をはじめ、全国のあちこちで楽しむ人が増えている。
競技のおもしろさを伝えようと、出身地の常総市で毎月1回、初心者向けの体験教室を開く。テレビにも出演し、テクニックを解説した動画も配信している。
モルックを始めたことで、「世界が広がった」とあらためて思う。裕福な投資家、手ごわい中高年の選手……。大会を重ねることで、全国にさまざまな職業や年代の友人ができた。モルックが縁で結ばれた妻からは時々、出場した試合の動画を見てもらい、アドバイスを受ける。
昨年7月には子どもも生まれた。いまは埼玉県和光市に住み、駐車場管理の仕事をしながら、土日の大会に出かける。「同好の妻が理解してくれているので助かっています」
競技人口の広がりとともに、ライバルたちのレベルが上がっていることを実感している。子育てと両立しながら、再び頂点に立ち、世界の舞台で戦うのが夢だ。(鹿野幹男)