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審判台の上から、試合進行をコントロール

 

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中学生審判がターゲットの大会を東京で開催

 バレーボールコートが2面取れる体育館にホイッスルの鋭い音が鳴り響く。はじめは弱々しかったその音は次第にはっきりと、そして明確な意思を持って試合進行の合図を送っていた。

 

 寒さ真っ只中の2月、東京都内の公立中学校で「第2回 Junior high school レフェリーキャンプ 審判交流大会」が開催された。大会を主催したのは、東京都中学校体育連盟バレーボール専門部の審判規則委員会。目的は、東京都でC級審判員の資格を取得した中学生に対して、実践の場を提供すること。技術向上はもちろんのこと、中体連に所属する審判員と交流を図り、バレーボールの試合を興行する上で必要なノウハウを身につける。運営側の立場を理解することで日々の活動に感謝の気持ちを持ち、生涯にわたってバレーボールに関わる環境をつくり出すことも狙いの一つだ。

 

 

開会式の進行も中学生が担当した

 

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 開会式は中学生が司会進行を務め、組み合わせ抽選やルール説明も大会に出場する中学生によって行われた。参加したのは、主催者から推薦を受けた計8チーム(1チームは感染症拡大のため棄権)。2組に分かれてリーグ戦を行い、各組の1位どうし、2位どうしが対戦して最終順位を決定した。

 

 現在、C級審判員の資格を持っている中学生は東京都で12名いる。しかし、残念ながらこの日は、参加を予定していた中学生審判員が高校受験や体調不良のため欠席。急きょ希望者を募り、手を挙げた中学生がファーストレフェリー、セカンドレフェリーを務めた。

 競技は午前9時から2コート同時にスタート。はじめは緊張した面持ちだった中学生審判員も、中体連の審判員がサポートすることで、落ち着いたレフェリングを見せていた。

 

現場で活躍する審判員たちがアドバイスを送る

 

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競技に携わる選択肢の一つとして

 ファーストレフェリーは試合の統括責任者として試合全般の判定を行い、ホイッスルやハンドシグナルを用いて試合を進行する。一方のセカンドレフェリーは、ファーストレフェリーと対面する位置でファーストレフェリーを補佐し、タッチネットの判定やスコアラーと連携してタイムアウト、選手交代をコントロールする。試合中、「今のはこうした方がいいね」「今のジャッジはよかったよ」と中体連の審判員からアドバイスを受ける中学生たち。その表情は真剣そのものだ。

 

 今大会の競技委員長を務めた服部篤史さんは、国際審判員の資格を持ち、週末はSVリーグでもホイッスルを吹く。ふだんは公立中学校でバレーボール部の顧問を務める服部さんは、審判員に必要なスキルについてこう話した。

「もちろんバレーボールの知識は必要です。それに加えて、人間的な包容力といいますか、いろいろなものを受け入れて、そこから発信するという姿勢が必要です。独りよがりになったり、受け入れなかったりとなると、そこでいろんなものが遮断されてしまいますから」

 

 

会場の様子

 

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 大会はおよそ7時間、2コートで計12試合が行われた。審判員を務めた中学生も、多くの学びを得て満足げな表情。試合を重ねるごとにホイッスルの音やハンドシグナルから自信があふれ、その成長ぶりは周りで見ていた大人を驚かせた。

「私自身も、子どもたちの成長のスピードには驚かされました。もちろん一から十までいっぺんに教えてもすぐに習得することはできないので、最初はやってみて楽しいなとか、何か一つのことができてよかったなと思えることが大事。まずはこれをやってみよう。これができたら次はこれをやってみようと、ステップバイステップで言っています。褒めて伸ばすというか、『今の笛はいいね』とか『今のハンドシグナルはきれいだね』というようなかたちで指導しています」

 こう話す服部さん。では、審判員のやりがいとは何だろうか。

「一つはバレーボールに携われること。身長が低くても、あるいはプレーはそれほど上手じゃなくても、トップレベルの大会に携わることができます。それから、いろんな世界が見られることも一つ。審判員の中にはいろいろな職種で働いている方がいます。そういう人たちと触れ合えるし、ましてや選手や監督、コーチともコミュニケーションがとれる。そこも魅力だと思いますね」

 

 

大会の運営には多くの人たちが携わっている。中央が服部さん

 

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 バレーボールの試合を見に行くと、たくさんの人が関わって一つの空間を生み出していることがわかる。選手と監督だけではない。審判、トレーナー、アナリスト、ボールリトリバー、モッパー…、SVリーグになれば試合を盛り上げるアリーナDJに、音響や照明で会場を演出するスタッフもいる。もちろん選手に声援を送るファンも大切なピースの一つだ。

「まずは一つ足を踏み入れてみること。プレーだけでなく、バレーボールを支えるという意味ではいろいろな携わり方があります。ケガをした選手を支えるトレーナーや技術を教えるコーチが向いている人もいる。では、どうやったら審判員になれるのか。私たちが情報を発信して、少しでもそこに足を踏み入れるきっかけをつくってあげたいですね」

 

 審判講習会は一つのきっかけに過ぎない。大事なのは、どんなかたちであれ、バレーボールに携わる人を増やすこと。その環境づくりが、我々大人に課せられたミッションではないだろうか。日本のバレーボール界は、きっと明るい。

取材/岩本勝暁

 

~中学生審判たちの声~

◼️福吉海優(ふくよし・みゆう/1年)

「初めてファーストレフェリーをやってみて不安もあったのですが、楽しくできました。逆に、点数を入れるチームを間違えたことがあって、そのときはパニックになりました。審判員をやってみたいと思ったのは、先輩や先生がやっているところを見ていたから。こういうプレーのときはこういうことが起きるというのがわかったので、それをプレーヤーとして生かしていきたいと思います」

 

◼️世古口愛咲桜(せこぐち・あえら/1年)

「周りの人が自分の声で動いてくれて、とても楽しかったです。逆に、点を取ったチームをハンドシグナルで指すときに、どっちに入ったかわからなくなって混乱するときがありました。セカンドレフェリーをやっているときは、選手が自分の声を聞いてくれなかったりすると、少し気まずくなるときがありました。ブロックがうまい人のプレーを見て、『こうやってやるんだ』と考えることができました」

 

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◼️大坪瑚幸(おおつぼ・こゆき/1年)

「難しさもありましたが、試合が始まるときに『これから始まるぞ』という合図を送るのが楽しかったです。逆に、ボールがネットの下を通ったときに、『どうやったらいいのかな』と迷ってしまいました。そのときは、サポートしてくださっている審判員の方に教えてもらって解決しました。『今のプレーがどうして向こうの点数になったんだろう』というのを見極められるようにしていきたいと思います」

◼️藤田芽以(ふじた・めい/1年)

「自信を持ってやれば間違えないと思っているので、それほど緊張はありませんでした。自分の判断で点数が決まるというのが、責任でもあり、そこにやりがいを感じています。判断が難しいプレーは、自分で実際に試したり、動画を見たりして覚えています。審判ってすごくかっこいい役目だと思います。将来的にはビシバシ判断して、周りに影響を与えられるようなかっこいい審判員になりたいです」

 

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