1月31日、町田市の桜美林大学でBaseballl5と33バスケットボールの異種目交流が行われた。アーバンスポーツ同士に…
1月31日、町田市の桜美林大学でBaseballl5と3×3バスケットボールの異種目交流が行われた。アーバンスポーツ同士による“世界初”のコラボレーションは、共生社会をも創出する社会的意義の深い1日となった。
(写真 / 文:白石怜平)
Baseball5と3×3バスケットボールが昨年10月に提携
この取り組みはBaseball5の「ジャンク5エレメンツ」と、3×3バスケットボールの「ADDELM ELEMENTS.EXE」とがタッグを組み実現した。
ジャンク5エレメンツは1月17〜18日に行われた「侍ジャパンチャレンジカップ 第3回Baseball5日本選手権」で2大会ぶりの全国制覇を成し遂げた強豪。
強化以外にも石川県や山形県などに直接出向き、競技を活用した地方創生に尽力するなど、Baseball5のパイオニア役を担ってきた。
そんな新たな取り組みの一つがアーバンスポーツ同士がタッグを組むことだった。
最初の出会いは昨年6月。東京ビッグサイトで行われた展示会にADDELM ELEMENTS.EXEが出展しており、展示会を視察に回っていたジャンク5エレメンツの若松健太監督と東翔紀選手が立ち寄った時のことだった。
共に革新性を持った両チームはすぐに意気投合し、「新しいことを一緒にやっていきましょう」と若松さんから提案し、翌月には提携に向けて合意。
チームでPRを担当する武藤萌子さんも「『えっ、そんなことできるんですか?すごくワクワクしますね!』という話になって、瞬く間にここまで来ることができました」と、互いの方向性が合致していることを明かしていた。
そして10月に提携を交わし、これに伴ってユニフォームを一新した。ADDELM ELEMENTS.EXEの運営母体は、鉱石由来のコンディショニングテクノロジーを開発・供給する「AddElm TECHNOLOGY株式会社」。
同社製の素材やデザインを活用したユニフォームを身にまとうと共に、チーム名も3×3バスケットボールと同じ“エレメンツ”というワードを冠した。
これには、日本から世界一へ可能性を拡げる『ELEMENTS(要素)』を作るという想いが込められている。
ADDELM ELEMENTS.EXEの想いも背負って日本選手権へと臨んだジャンク5エレメンツは、1セットも落とすことなく全勝での優勝を成し遂げて見せた。
特別支援学校との絆は競技の垣根を超える
全国制覇から2週間、両者はもうひとつ二人三脚の取り組みをスタートさせた。この日は桜美林大内の体育館全面を使い、半面ずつ各競技の体験ができるイベントを開催した。
参加したのは「東京都立町田の丘学園」「羽村特別支援学校」「府中けやきの森学園」の約20名の生徒たち。3校はいずれも特別支援学校である。
特別支援学校生が2つのアーバンスポーツを同時にプレーできるのは世界初の取り組み。ただ、これはジャンク5エレメンツが5年以上かけて地道に土台を築いてきたからこそ実現できたものだった。
2021年、障がいがある人たちへの自立・就労支援を事業の一つとして展開している「ユニオンソーシャルシステム株式会社」から従業員のために何か行いたいと相談を受けた若松さん。
Baseball5の活用を同社に提案し、チームメンバーと共に本社のある山形県で交流イベントを開催したのが転機となった。
以降チームそして日本代表監督として世界の試合を見てきた経験から、Baseball5が障がい者スポーツとしての未来があると確信し、そのアイデアと行動力で世界初の取り組みを次々実現させてきた。
昨年1月からは特別支援学校によるBaseball5の体験会を開催すると、12月には同校の生徒たちで構成されたユースチームを結成。日本選手権の予選に出場し、真剣勝負の枠を超えた感動をも生み出した。
ADDELM ELEMENTS.EXEにおいては、特別支援学校生と交流するのは初。チームにとっても歴史的な日となった。
武藤さんは「どんな年代の子たちが来るのか、どんなことができるのかを聞きながら、みなさんに楽しんでもらえるよう考えながら進めていきました」と、経験豊富な若松さんからアドバイスをもらいながら形作っていったと明かした。
スポーツを通じた交流と成長の場に
参加した生徒たちに2つの競技を楽しんでもらおうと、両チームそして桜美林大Baseball5部の選手たちはそれぞれのフィールドで盛り上げる。
Baseball5ではヒットを打ったり、3×3バスケットボールではシュートを決めれば大きな拍手とお互いのハイタッチでプレーを讃えた。生徒たちにも笑顔と活気があふれ、「もう1回!」と自らコートに向けて積極的に足を進めた。
選手と生徒たちが一つになって活気をつくっていく様子を見た武藤さんは、嬉しさをこのように表した。
「バスケットボールを楽しんでもらえることができてとても嬉しかったです。選手たちも試合、練習以外での活動をすることも少なかったので、今回の活動も楽しく行なってもらえたと感じました」
先生たちも教え子たちが活き活きと躍動する姿を見守っていた。参加した特別支援学校の先生たちは、昨年の体験会からの変化を以下のように語っている。
「体験会にはずっと参加させてもらっていますが、生徒たちは同じ学校以外の人たちと関われるのをすごく楽しみにしています。
スポーツを通じて社交性やコミュニケーション力がすごく高まっていますし、卒業後の就労にもつながっていく大きな力が培われているので、本当にありがたい機会です」(羽村特別支援学校 三上博士先生)
「これまで生徒たち自身が培った力を表現するのは難しい部分もあったかもしれないですが、ここでの体験が変化のきっかけになっていると近くで見ていて感じました」(府中けやきの森学園 梅景靖之先生)
また、保護者も同様にその姿に感動と感謝を抱いていた。東京都立町田の丘学園でPTAの統括会長を務める大町真基子さんも、将来につながる大切な経験であると語った。
「親の近くを離れて何かをする経験を積んでいるので、社会に出た時にとても役立つと感じています。
困ったことがあれば自分で助けを求めるとか、分からないことは誰かに聞くことを自主的になっていけるので、参加しているみんなにとって大きな力が身に付くと思いますね」
日本選手権を経て新たな成長をしたユースメンバー
この歴史的なイベントの中で、ジャンク5エレメンツでもある変化が起きていた。上述のユースチームの一員として選手権にも出場した北村真大選手が、この日運営側としてサポートしていた。
北村選手も特別支援学校に通う一人で、昨年の体験会を通じてBaseball5を知り、競技をスタートした。ユースチームに入ってからは日本代表選手たちや桜美林大生たちと共に切磋琢磨し、心身の成長を図ってきた。
息子の活躍ぶりを見守っていた母の亜希子さんも、「半年前には今のような光景は全く想像もしてなかったです」と大きな変化に驚きを見せていた。
その変化の過程について、将来に向けた可能性も交えながら明かしてくれた。
「ジャンク5さんや桜美林大の練習に参加すると、幅広い年代の人たちと関わることができます。
その中で自分から率先してやらなければならないことを経験できていますし、チームメイトの皆さんもその姿勢を見て『一生懸命やっている』と評価してくれて、アドバイスもたくさんいただいていると聞いています。
彼もこれから働くのですが、社会に出る上でたくさんの学びを得られていると思います」
約2時間の体験イベントは、新しい発見と交流が生まれる機会となった。若松さんもその様子を見て、高ぶる気持ちを表現した。
「生徒たちがあの狭い体育館で両競技をプレーしている姿を見て、“アーバンスポーツ”というキーワードで今後も取り組んでいく価値があると感じました。
競技特性が全く違うにも関わらず、アーバンスポーツという共通点でここまで素晴らしい空間を創り出すことができるのかと、新鮮な感動を覚えました。
あとはBaseball5のスタッフが3×3の補助に入り、スタッフが盛り上がっている姿も忘れられないです(笑)」
「アーバンスポーツとして取り組む価値がある」
約2時間の体験イベントは、新しい発見と交流が生まれる機会となった。若松さんもその様子を見て、高ぶる気持ちを表現した。
「生徒たちがあの狭い体育館で両競技をプレーしている姿を見て、“アーバンスポーツ”というキーワードで今後も取り組んでいく価値があると感じました。
競技特性が全く違うにも関わらず、アーバンスポーツという共通点でここまで素晴らしい空間を創り出すことができるのかと、新鮮な感動を覚えました。
あとはBaseball5のスタッフが3×3の補助に入り、スタッフが盛り上がっている姿も忘れられないです(笑)」
また、ADDELM ELEMENTS.EXEと提携してから初イベントということで、改めてスタートラインに立った。
武藤さんは初めて特別支援学校の生徒たちと交流を持ったことで、チームとして共生社会の創造と改めて向き合うきっかけになったと語る。
「チームのコンセプトとして『EXPAND YOUR POSSIBILITIES(あなたの可能性を拡げる)』を掲げています。今回の経験を機に自分たちのできることをもっと考えていきたいです」
そして若松さんも2026年をさらに発展の年にするため、今後も革新は続けていきたい想いを明かした。
「お互いの競技にそれぞれ特徴があるので、それぞれ補いながら両競技の更なる発展を目指したい。Baseball5でいうと、3×3のような国内リーグがないのですごく参考になります。
まだ始めたばかりの提携なので、2026年は新しいことを共にチャレンジしていきたいです」
両チームにとって新たな歴史がまた刻まれたこの日、アーバンスポーツ界にも新たな可能性を示すイベントとなった。
(了)









