満足はせずも、手ごたえを得た65分  『AFC U23アジアカップ』準決勝の韓国戦、開始6分だ。久米遥太(早稲田大学2年…

満足はせずも、手ごたえを得た65分


 『AFC U23アジアカップ』準決勝の韓国戦、開始6分だ。久米遥太(早稲田大学2年・FW)は右サイドでボールを持つと、韓国DFの間にダブルタッチ気味に割って入り、ファウルを誘う。いつも東伏見グラウンドでやっているプレーを思い切って出せた。ライバル意識むき出しで来る相手に対して、65分に交代するまで、フィジカルでの勝負にもひるまず泥臭く戦った。「何かを残さなければ」と自ら課したゴールやアシストという点では実らなかったが、攻守にやるべきことが整理できて臨めた試合でもあった。満足はしていないが、手ごたえを得た65分ではあった。試合ごとに学ぶことができたという感触があったからだ。

 もとより理系脳で学ぶ青年だ。小学校4年で東京武蔵野シティのセレクションに合格して本格的にサッカーを始め、同クラブには中学まで在籍。子どものころから数学が得意で、早実では理系コースを選択していた。
 
 成績はトップクラスで大学の理工学部にも進めたが、実験も多くサッカー部との両立が難しい。高校選手権出場を果たした後、「文転」して政治経済学部経済学科に進む。同学部は文系ではトップクラスで、早稲田の看板学部。サッカー部の卒業生には部の中興の祖で監督と部長も長く務めた堀江忠男やメキシコ五輪銅メダルメンバーの森孝慈、さらには日本を初のワールドカップに導いた岡田武史らがいる。
 

右サイドで縦に勝負できる右利き


 早稲田の兵藤慎剛監督は「自分のこだわりもあるが、まずは周囲の言うことに耳を傾ける素直さがある。アンダー世代の選手には、よくも悪くも自分を曲げない選手が多い」と話す。

 2年生で7ゴール4アシストという結果を残せたのは、右ワイドという同じ役割でも、相手守備の陣形に合わせたポジショニングとコース取りを兵藤のアドバイスで咀嚼した結果でもある。縦への突破のみならず、5バック気味の相手には中にしぼりながらいわゆるAゾーンにもぐって決定的な仕事をした。自らのこだわりと学びのバランスを取ったからこその結果だ。学ぶ姿勢は初の国際試合でも同じで、1試合ごとに自己分析を積み重ねた。「自分の能力値にまったく満足していないので、学べるものは学んで知識や経験を積んでいきたいです」

 右サイドを持ち場に縦で勝負できる右利き選手は少ないという解析と自負を持つ。日本代表の伊東純也ゲンク)や鹿島アントラーズ松村優太をイメージしながら、「大卒でJ1のゲームに出られるような選手」を目標にすえる。

 初の国際舞台で、ロス五輪へのチケットが他人の手中にあるものではないことを実感した。それは自分自身への励みになると同時に、アンダー世代の選手が多い早稲田の同期に与えた刺激も大きい。「4月からは3年生なので、刺激し合いながらチームとして高めていけば、自分もふくめ選手としてのチャンスが広がる。上級生としての振舞いを心がけてやりたい」
 2月にはプロのスカウトや代表スタッフら関係者の注目が集まるデンソーカップがあり、3月にはU-22日本代表の海外遠征も予定されている。ロス五輪とその先の将来に向けて、看板学部の韋駄天が走り始めた。

Profile
久米遥太(くめ・はるた)
2005年4月7日生まれ。早稲田実業学校中等部時代には横河武蔵野FCジュニアユースでプレー。高等部入学とともに同校のサッカー部に入り、3年時には第102回全国高校サッカー選手権大会に出場した(1回戦で●0-2広島国際学院)。卒業後は早稲田大学政経学部へ進学。ア式蹴球部でプレーしている。2025年、U―22日本代表に抜擢され、各カテゴリーにおいて初めての代表選出となった。173㎝、67kg

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