(15日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スピードスケート・女子500メートル) 1000メートルに続く銅メ…

 (15日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スピードスケート・女子500メートル)

 1000メートルに続く銅メダルを獲得した高木美帆(TOKIOインカラミ)はしみじみと言った。

 「やっぱりこのブレードには、すごく感謝の気持ちが強い」

 足元から自身を支え、ともに戦ってくれるスケートの刃に対する思いだった。

 現在のブレードは2018年平昌、22年北京の両五輪で使ったもの。ただ、ミラノに至る道のりで別の可能性を模索した時期もあった。

 23年、高木は新たな挑戦を始めた。海外の中・長距離選手の大半が使用するタイプにブレードを切り替えた。マンネリ化していた滑りを見直し、違った刺激を受けることで、滑りをバージョンアップさせる狙いだった。

 チャレンジはうまくいったかに思えた。23~24年シーズンのワールドカップ(W杯)では自己最多の年間9勝を挙げ、翌24~25年も7勝を積み増した。

 ところがその滑りに変調が見え始める。顕著だったのは終盤の失速。特に25年3月の世界距離別選手権1500メートルで喫した敗戦(4位)のショックは大きかった。

 新ブレードは、肉体的な力強さが速さにつながるイメージだった。ゆえにパワーをつけるトレーニングを積んだ。それが、効率良くスピードを出す持ち前の繊細な滑りを失わせる要因にもなった。

 決断を下したのは今季の開幕直前。過去のブレードに戻し、「突貫工事」で今の体に合った滑りを手に入れようともがいてきた。

 15日の500メートルは、銀メダルを獲得した北京五輪をほうふつとさせる会心の滑りだった。当時だした自己記録(37秒12)には届かなかったが、最初の100メートルは10秒40という自己最速のスピードを実現した。

 「技術の部分でつかみ始めているものがある。500メートルに挑むにあたって動きの修正に取り組み、結果としていい動きにつながった」と収穫の大きさを語った高木。

 慣れ親しんだブレードと追い求めてきた理想の滑り。悲願の五輪1500メートル制覇に向け、完成形にまた一歩近づいた。(松本龍三郎)