<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇ペア・ショートプログラム(SP)◇15日◇ミラノ・アイス…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇ペア・ショートプログラム(SP)◇15日◇ミラノ・アイススケートアリーナ

世界王者の「りくりゅう」こと三浦璃来(りく、24)木原龍一(33)組(木下グループ)がSP5位と出遅れた。

今季ワーストの73・11点。世界選手権2度優勝の金メダル候補ながら、リフトのミスが響いた。首位のハゼ、ボロディン組(ドイツ)と6・90点差、表彰台圏内まで1・49点差で16日のフリーへ臨む。長岡柚奈(ゆな、20)森口澄士(すみただ、24)組(木下アカデミー)は59・62点で最下位の19位となり、上位16組によるフリー進出を逃した。

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木原が氷上でうなだれた。フィニッシュポーズを解くと、10秒ほど立ち上がることができなかった。三浦に右肩をさすられても、白い顔でうつむいたまま。「何でああなったのか分からない」。得点源のリフトで痛いミスがあり、まさかの5位スタート。SPで表彰台圏内の3位を下回るのは、8位発進だった北京五輪以来4年ぶりとなった。

落とし穴は中盤に待っていた。冒頭の2つの技を決めて迎えたリフト。木原が右手だけで三浦を持ち上げたが、頭上で両手に持ち替える動きで三浦の左手を握れず。木原の肩に三浦が乗る格好となった。三浦は「リフトは2人のあうんの呼吸、タイミングで成り立っている。少しズレると今回のようになってしまう」と説明。リフトの得点はわずか3・90点。自己ベストだった6日の団体SPから、この技だけで6点も得点を落とした。結成した19年から指導してきたマルコット・コーチも「練習でこんなミスは1度も見たことがない」と驚きの表情だった。

落胆の色が濃かったのは、十分な準備を積んできたからこそ。1月末の現地入り後は報道陣の前で10度練習機会があり、転倒などのミスは1度もなかった。8日までの団体ではSP、フリーともに世界歴代3位の高得点で1位。銀メダルの表彰式では木原の指示でそろって予備靴で参加し、刃こぼれの影響も受けなかった。練習後には2人で人気ゲーム「桃太郎電鉄」でリラックス。三浦は「本当に良い準備ができている」と自信を示していた。徹底した危機管理と充実の調整。それでも出たミスに、動揺を隠せなかった。

ただ、リフトの後は全ての技を決め、メダル圏内まで1・49点差につけた。首位とは6・90点差と開いたが、フリーはミスが起きやすいジャンプ系の要素が4つもあり、2人が完璧にそろえれば逆転金メダルの可能性もある。ずっとうつむいていた木原は、取材の最後に前を向いた。

「明日はいつもの『りくりゅう』の感じで話ができるように必ず戻ってくるので、待っていてください。必ず戻ってきます」

現行の採点方式となった06年トリノ大会以降、ペアSPからの最大逆転差は5・80点。日本ペア史上初のメダルを金色にするには、史上最大の下克上を演じるしかない。今こそ真価が問われる時だ。【藤塚大輔】