◇LIVゴルフ◇アデレード 最終日(15日)◇グランジGC(オーストラリア)◇7111yd(パー72)40歳のアンソニ…

復活優勝を直前にした最終18番で、アンソニー・キムは胸に手を当てた(Charles Laberge/LIV Golf)

◇LIVゴルフ◇アデレード 最終日(15日)◇グランジGC(オーストラリア)◇7111yd(パー72)

40歳のアンソニー・キムが、2024年から加わったLIVゴルフで念願のタイトルを獲得した。主要競技では2010年のPGAツアー「シェル・ヒューストンオープン」から約15年10カ月ぶりの勝利。2008年には世界ランキング6位まで上り詰めたベテランの復活劇は、驚きをもって世界中で大きく報じられた。

「妻に、娘に、僕を支えてくれた全ての人に感謝したい」。かつて華々しいキャリアを築いたキムにとって、多くの困難を乗り越えてつかんだ勝利だった。25歳までにPGAツアーで3勝を挙げ、2008年には欧米対抗戦「ライダーカップ」メンバーに初選出。名実ともに米国を代表するプレーヤーとして成長を続けていた矢先、悲劇が訪れる。ランニング中に故障したアキレス腱の手術を受けた2012年5月を最後にツアーから離脱。その後、実に12年間も主要競技への出場から遠ざかった。

娘のベラちゃんを抱き抱えて優勝をよろこんだ (Mateo Villalba/LIV Golf)

約1年前に、キムが自身のInstagramに投稿したメッセージがある。かつてアルコール依存症や精神疾患に苦しんでいたこと、自から命を絶つことを考えていたこと、そして2年間の禁酒に成功していること。中でも禁酒は「人生で最大の成果」とした上で、「この投稿は禁酒を勧めるためではなく、私と同じように依存症で人生を台無しにしてしまった人たちに、人生を立て直せると伝えるためのもの」とつづっている。

優勝会見でキムは「僕の目標は、苦しんでいる人々に勇気を与えること。人々にインスピレーションを与えたいんだ」と強調していた。アルコール依存から抜け出すためのリハビリ中、常に思い続けたことだった。「妻に言われたんだ。私が伝えたい人数に届く唯一の方法は、勝つことだって」。そして、それが実現した。復活優勝を遂げた会見の場で送ったメッセージは、1年前の投稿よりもはるかに多くの人たちに届いたはずだ。