NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第8節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2026年2月14日(土)14:30 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 19-42 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

離脱中に磨かれた、迷いのない判断軸。自信を携え、再びグラウンドへ


クボタスピアーズ船橋・東京ベイの江良颯選手。約4カ月ぶりの実戦復帰だったが「自分の中でやるべきことをしっかり整理した状態で試合に入れました」

季節外れの陽気がスタジアムを温かく包み込み、上空にはどこまでも美しい青空が広がっていた。互いの身を削るタフな競り合いを勝ち切った要因について、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)のフラン・ルディケ ヘッドコーチは、「80分間をとおして選手たちの役割が崩れなかったこと」だと語った。また、マキシ ファウルア キャプテンは「流れが悪くなってもプロセスを続ける」、「コントロールできることにフォーカスする」と続けた。二人の言葉が示していたのは、苦しい展開でも判断軸が揺れない、迷いのないチームの姿だった。


クボタスピアーズ船橋・東京ベイのマキシ ファウルア キャプテン

S東京ベイのフッカー、江良颯はこの日、日本代表として臨んだ昨年10月のオーストラリア代表戦以来、約4カ月ぶりの実戦復帰を果たした。

復帰戦の相手が、強力なスクラムワークを誇る静岡ブルーレヴズだったことには不安もあったという。それでも江良は、何よりも自信をもってプレーすることが重要だと語った。

彼が手にしていた自信の正体は、好調さではなく、自分が何をすべきかを理解した上でグラウンドに立てるという確信だった。昨年の日本代表活動では、自信を得るために、あえて自らの考えを言葉として発していたという。言葉にすることで、次に“責任”が生まれる。江良にとっての日本代表活動は、黙って結果を出す若手から、言葉と行動で責任を引き受ける選手へと変化する時間でもあった。

「自分の中でやるべきことをしっかり整理した状態で試合に入れました。インパクトプレーヤーとして、まずはボーナスポイントを取りに行くという役割を意識していて、それをプレーで体現できたと思います」

後半19分、マルコム・マークスに替わりグラウンドに入った江良は、そう試合を振り返った。ラインアウトスローで乱れたボールにいきなり絡むと、その約1分後には自らトライを決めてみせた。

今季は開幕直前にハムストリングを負傷。欠場期間中には福田陸人が活躍を見せ、その姿に強い危機感を覚えた。ただ、その経験もまた、自身を見つめ直す上での糧になっている。

「この期間で、自分がやるべきことを頭の中で整理し、明確にできました。いろいろ見ながら自分のプレーを探してきたことが自信にもなっていますし、これからはそれを試していく段階にきていると思います」

チームとして判断軸が共有され、迷いのない状態にある中で、江良もまた、自信を携えてグラウンドに戻ってきた。ルディケ ヘッドコーチとマキシの言葉が示していたチームの成熟と、江良が築き上げた自信は、同じ方向を向いた準備と整理の積み重ねから生まれたものだった。そして実際に試合では最後まで攻め抜いた末、チームはボーナスポイントを奪った。

青空の下で繰り広げられた消耗戦。迷いのない判断軸と、その中で磨かれた個の自信が、この日の80分を支えていた。

(藤本かずまさ)

静岡ブルーレヴズ


静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、クワッガ・スミス キャプテン

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督

「先週は本当に多くの点数を取られてしまいました。その取られ方もあまり良くなかったこともあり、今週はしっかりとディフェンスに取り組んできました。最終的には点差が開いてしまいましたが、内容は悪くはなかったと思います。いろいろと小さなミスはありましたが、選手が修正したところもしっかり出せていました。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)さんは強いチームです。もちろん改善しなければいけないところはあるのですが、一定の修正はできたかなとも思います。

ただ、一つできるようになると別の何かができなくなるところ、ラインアウトの精度(が保てないこと)などはありました。強いチームを相手にイエローカードを出してしまうと、よりプレッシャーを掛けられますし、すべてがうまくいかないと勝つことはできないと思います。また来週に向けてしっかりと課題を修正して臨みたいと思っています」

──クワッガ・スミス選手はこれまで途中出場が多かったですが、今日の試合で先発にした狙いと、実際にどのような効果があったか教えてください。

「クワッガも調子が上がってきています。いま、起用したい選手が5人いる中で、それを4人に絞るのが以前よりも非常に難しくなっています。(シルビアン・)マフーザが復帰したことも含め、クワッガは先発かなと考えていました。チーム全体のバランスを見て、今日はこのような形にしました。実際、今日もクワッガは何回もボールを奪ってくれましたし、フォワードをしっかりリードして、前に出ることができたのではないかと思っています」

静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン

「結果にはもちろん落胆していますが、選手たちを本当に誇りに思います。今日の努力はすさまじいものでした。選手たちは激しく戦い、すべてを出し切ったと思います。細かなミスから相手に得点を与えてしまいましたが、スコアボードは試合の内容を正しく反映していないと思います。少し展開を逃してしまった部分もありましたが、選手たちを本当に誇りに思います。少しずつ成長しています。

特にS東京ベイのような強いチームに対しては、細かい部分を修正し、小さなミスをなくしていく必要があります。ですが、選手たちが今日見せた努力を間違いなく誇りに思っています」

──ご自身のコンディションについて伺います。状態が良く、パフォーマンスも戻ってきているように見えますが、今季これまでを振り返っていかがでしょうか。

「間違いなくリーグワンの感覚を取り戻してきています。テストマッチからこちらに来ると、いつも少し勝手が違い、自分の立ち位置を見つけるのに少し時間が掛かります。ですが、自分のパフォーマンスには満足していますし、まだ改善の余地もあります。いくつかミスもありましたが、ハードワークを続け、チームのためにパフォーマンスを発揮し続け、チームが勝利をつかめるようにしていきたいです」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ


クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、マキシ ファウルア キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「まず、本当に素晴らしい施設です。静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんがこの試合をこのようにまとめ上げたことを賞賛したいです。観客も素晴らしかったですし、静岡BRが常に私たちからベストを引き出してくれるような大きな挑戦を与えてくれることに感謝しています。

試合については、静岡BRの戦い方、フィジカルさ、決して止まらず、決してあきらめない姿勢に大きなリスペクトをもっています。だから私たちはベストの状態である必要があると分かっていました。2年前には彼らにラストミニッツで負け、その次の試合はラストミニッツで引き分けました。だから80分間、パフォーマンスを出し続けなければならないと分かっていました。選手たちはよくやってくれました。非常に誇りに思い、うれしく思います。キャプテン、そしてフィールド上の全員が自分たちの役割を果たしてくれました。非常に満足しています」

──バーナード・フォーリー選手がイエローカードで一時退出してしまったとき、その状況をどのように解決していったのでしょうか。

「特に混乱があったとは思いません。選手たちはよくコントロールしていたと思います。私たちにはイエローカードやレッドカードが出た際のプロトコルがありますので、選手たちは何をすべきか正確に理解していました。レフリーに質問しているように見えたかもしれませんが、いくつか難しい判定もありました。しかし、私たちはそれを受け入れ、選手たちは上手に対処してくれたと思います。(一時退出した)あの10分間、私たちは試合をコントロールして相手に得点を許さず、逆に自分たちが得点することができました。それは素晴らしいリーダーシップがあり、全員が自分の役割を理解していたおかげです。選手たちは本当によくやってくれたと思っています」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
マキシ ファウルア キャプテン

「ヘッドコーチも言ったとおり、素晴らしい環境でプレーできることは、自分たちにとっても本当に光栄なことだと思います。ビジターで勝つことは本当に難しいので、今日勝ち切ることができて本当によかったと思っています。静岡BRと対戦するときは毎回タフな試合になりますが、今週はチームとして非常に良い準備をしてきました。最後まで自分たちのプロセスをやり続けることが結果につながると思っているので、それが今日の結果に出たのではないかと感じています」

──試合中、ミスから追いつかれそうになり、あまり良い流れではないようにも見えましたが、その中でどのようなことを考えてプレーしていましたか。

「予想どおり、非常にタフなバトルになりました。自分たちのペースにならないときもありますが、そういうときこそ自分たちのコネクションをより強くし、ディテールに全員がこだわり抜いたことが、最終的な結果につながったのではないかと思っています」