チームとして強度が上がらず、自身の球際で精彩を欠く場面が悪目立ちする三笘(C)Getty Images指揮官に飛んだ「明…

チームとして強度が上がらず、自身の球際で精彩を欠く場面が悪目立ちする三笘(C)Getty Images
指揮官に飛んだ「明朝にはクビになる」のヤジ
2025-26シーズンのプレミアリーグも、すでに全体の3分の2以上にあたる26節までを終えた。リーグ戦がいよいよ佳境へと向かっていく中、日本代表MFの三笘薫が所属するブライトンは調子を落としている。
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11月までを結果だけで振り返れば、6勝4分3敗。勝点22で5位につけ、上位争いの一角を占めていたブライトン。しかし、そこから13試合で積み上げた勝点はわずか9(1勝6分6敗)。順位は14位まで後退し、降格圏内となる18位のウェストハムとの差は7ポイント。“絶賛”低迷中と言って差し支えない状況だ。
シーズン序盤は、来シーズンの欧州カップ戦出場権の獲得が現実的なターゲットだった。だが、今では順位表の上を見据えるよりも、不安を抱えながら背後を気にしている。もっとも、今季のプレミアリーグで欧州カップ戦に出場しているクラブは9(チャンピオンズリーグ6、ヨーロッパリーグ2、ヨーロッパカンファレンスリーグ1)。この数字をベースとして考えるならば、現時点で勝点37の8位エバートン、同9位のボーンマスとの差は6にすぎない。それだけに連勝できれば、再び欧州への切符争いに加わるのも可能かもしれない。ただし、現在のブライトンのパフォーマンスを見る限り、それが現実的かどうかには疑問符がつく。
そんなチームの不振と歩調を合わせるように、三笘のギアもなかなか上がってこない。9月下旬に足首の負傷により戦線離脱。以降、約2か月半にわたってサイドラインからチームを見つめる時間が続いた。
復帰は12月中旬。その後は病気による欠場もあり、最終的にスタメンへと戻ったのは、25年が終わりを迎えようとしていた12月30日のウェストハム戦だった。以降は直近のアストン・ビラ戦まで、リーグ戦では7試合連続先発出場を続けている。
三笘は1月24日のフラム戦で“幻のアシスト”、翌節31日のエバートン戦では“ゴールもどき”と、2試合連続でVARによって得点関与を取り消された。いずれの試合も、チームは後半アディショナルタイムに失点し、勝点を落としている。さらに続く2月8日のクリスタル・パレス戦。至極低調なチームパフォーマンスとともに、背番号22も完全に沈黙した。
この3試合でブライトンは自軍サポーターから厳しい言葉を浴びせられてもいた。フラム戦、エバートン戦後には一部からブーイングがこだまし、直近のホームで行われたパレス戦後には、スタンドからファビアン・ヒュルツェラー監督に向け、「You don’t know what you are doing(お前は何もわかっていない)」「Sacked in the morning(明朝にはクビになる)」といった厳しいヤジも飛んだ。

身体を張り、攻守で何とか奮闘する三笘。しかし、結果がどうにも結びついてこない(C)Getty Images
「80分良くても最後。これで負けるんで」
迎えた2月11日のアストン・ビラ戦も、前半はリーグ3位と好調を維持するビラに完全に支配された。球際の弱さが際立ち、セカンドボールはことごとく相手のものに。反応の鈍さ、対応の遅れからファウルも増え、パスミスも散見された。
押し込まれる時間が続いた状況で、三笘がボールを持つ場面はほとんどなく、手も足も出ず。大量失点での大敗すら予感させる内容だった。それでもスコアレスでハーフタイムを迎えられたのは、奇跡に近かった。
そして後半に、ブライトンは別のチームのように息を吹き返す。インテンシティーが明らかに向上し、難敵を抑え込む競争力を取り戻したのだ。試合後、「ハーフタイムにどんなアドバイスをしたのか?」と質問した筆者に対し、ヒュルツェラー監督は「前半と同じくボールに対して強度を保つこと、そして落ち着いて我慢強くボールを回すことを伝えた」と明かした。その言葉がどこまで作用したのかは分からないが、前後半の差はあまりにも大きかった。
とはいえ、この試合も終盤に失点して0-1で惜敗。試合後の三笘のコメントは、ここ最近と似通った内容だった。
「同じような最後のところ。細かいところですけど、80分良くても最後。これで負けるんで。サッカーはそういうもの。チャンスもありましたけど、受け止めないといけないですね」
「もちろん決め切れるところを決めきれないとこうなる。やっぱり全員で守備のとこは意識してましたけど、攻撃の時に少ない人数でやりきらないといけない。僕の責任もありますし、チーム全員の責任もありますし。でも、すぐに試合なんでもう切り替えるしかない」
三笘がイングランド南部に渡ったのは、22年の夏(21-22シーズンはベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへレンタル加入)。移籍から早3年半が経過した。その間、クラブにも浮き沈みの時期はあったが、パフォーマンスそのものがここまで落ち込んだ局面は記憶にない。
この苦境を三笘自身も「一番難しいとは思います」と言う。そして「サポーターの気持ちも分かりますし、自分たちの中でうまくいっていないのも分かります」と冷静に受け止め、ブーイングについても「妥当」と表現する。
「もっと上に行かないといけないチームでしたけど、こういう風になってるんで。でもしっかりとポイントを稼ぎ……稼いでいかないと厳しいことになると思います。こういうところ踏ん張れるかによって、自分たちの力が試せるかなと思います。ここを耐えないといけない」
自分のプレーに対する評価も厳しい。「思ってるところのプレーはできてないですね。連戦の中でももっと違いを作らないといけないですし、次もしっかり試合出ていかないといけないですし。自分のとこは足りないかなって感じてます」と語る28歳は、現状へのもどかしさを隠さなかった。

ワールドカップまで半年を切り、いよいよ機運が高まる中で、三笘も「目標」を見据えている(C)Getty Images
達成したプレミア通算100試合出場。その価値は――
明るい材料は決して多くない。ただ、見方を変えれば、上がっていくだけとも言える。
三笘は1月にプレミアリーグ通算100試合出場を達成した。この直後に筆者は、同リーグ公式サイトのインタビューの通訳を務めさせてもらった。その際に彼は「このリーグでプレーすることが夢だったので、そう考えるとすごく大きな数字」と話し、次のように続けた。
「僕自身もどんと積み重ねていきたいですし、このチームでも500試合、600試合と出ている選手がいる中で、積み上げていくことが日本にとってもいいことになる。とにかく試合に出たい気持ちで頑張ってきましたし、いろんな監督と出会って、いろんな選手と出会って、僕自身も成長してこの数字になったかなと思っています」
シーズン終了後には、北中米ワールドカップ(W杯)が迫る。目指すのはもちろん優勝だ。三笘は「チームとしては1番上の目標、優勝を目指しています。そのポテンシャルが今のチームにはあると思います」と力強く話した。
そのW杯では、日本代表の命運を握る重要なピースと言える存在だ。「代表とクラブは違う」というスタンスを貫く三笘にとって、まずはブライトンで結果を残すことが何より重要になる。
現状は苦しい。それでもクラブを浮上させることができれば、それは本人にとっても、そして日本代表にとっても、最良のシナリオとなるはずだ。
[取材・文:松澤浩三 Text by Kozo Matsuzawa]
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