◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 最終日(15日)◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)◇6989yd(パー7…
◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 最終日(15日)◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)◇6989yd(パー72)
短いウィニングパットを沈めてこぶしを握った後、コリン・モリカワは感情的になった。日本開催の2023年「ZOZOチャンピオンシップ」以来、3シーズンぶりの優勝。涙を流した理由は久々のタイトルだけではなかった。
「優勝から遠ざかっていたことよりも、赤ちゃんだろうね。数カ月後に子どもが生まれるんだ。優勝という形で公表する以上の方法なんてあるかな?」。今週からツアー仲間や関係者に伝え始めたばかりだったという妻の妊娠。お腹がふっくらした妻のキャット・ズーさんとペブルビーチの優勝グリーンで喜びを分かち合う瞬間は最高だった。
優勝したら公表しようと2人で決め、一度は先送りにしかけた。2日目を終えた時点では首位と8打差の27位。3日目の「62」で2打差2位まで急浮上し、最終日最終組に飛び込んだ。
「よしっ、勝つぞ!」。自らにそう言い聞かせてスタートし、2番(パー5)でバーディが先行した。5番(パー3)でボギーをたたいても、「この状況が心地いい」と優勝争いを楽しんでいる自分に気づいたという。6番(パー5)でバウンスバックを決めると、風雨にさらされた名物7番(パー3)ではベストショットを繰り出す。
「ボールの曲がり方や風の影響…ショットを頭の中でイメージできた。創造性とでも言うだろうか。子どもの頃にはたしかに持っていて、多くの人が時間の経過とともに失ってしまうものだ」。8番アイアンと迷った末、フィーリングを信じて9番アイアンを握り、ピン上1.5mに絡めて獲った。世界ランキング1位スコッティ・シェフラーの猛追を気にかけながら、サンデーバックナインもアクセルを踏み続けた。
1打差で振り切った2人のうち、ミンウ・リー(オーストラリア)とはよく練習ラウンドもする間柄だ。カート・キタヤマも交えてマッチプレーを楽しんだのは2週前のこと。今大会で優勝をもたらしたマレットパターは、そのときに一緒だったキタヤマの兄・ダニエルのものを借りているのだとか。「パッティングの助言は、本当にたくさんもらってきた。TGLのときにはタイガー(ウッズ)とも話した。みんなライバルでありながら、ここぞという時に手を差し伸べてくれる。本当に感謝しているよ」
若くしてキャリアの浮き沈みを経験し、周囲の支えで再びつかんだ栄光。「少し賢くなり、少し大人になったけれど、希望はたくさんある。素晴らしい未来が待っているんだ。でも、いまはただこの瞬間を楽しみたいよ」。忘れかけていた喜びを、大切な人と目いっぱいかみ締める。(カリフォルニア州ペブルビーチ/亀山泰宏)