◆ミラノ・コルティナ五輪▽スピードスケート 【ミラノ(イタリア)15日=富張 萌黄】女子500メートルが行われ、22年北…

◆ミラノ・コルティナ五輪▽スピードスケート

 【ミラノ(イタリア)15日=富張 萌黄】女子500メートルが行われ、22年北京大会銀メダルの高木美帆(31)=TOKIOインカラミ=が今季自己ベストの37秒27で銅メダルを獲得した。3位だった1000メートルに続き、今大会2度目の表彰台。直前まで出場を迷った短距離種目で2大会連続メダルを獲得。五輪通算メダル数は日本女子史上最多を更新する9個(金2、銀4、銅3)となり、2ケタの大台突破へ前進した。世界記録保持者のフェムケ・コク(オランダ)が五輪新の36秒49で初優勝した。

 自身のレースを終えてから28分52秒後、高木の銅メダルが決まった。最終組を見届け、ガッツポーズを作ると、ヨハン・デビット・コーチ(46)に抱きつき、喜びを爆発させた。メダルの色は、連覇を逃して悔しさをにじませた9日の1000メートルと同じだったが、「うまくいくとは思っていなかった。素直にうれしい」と正反対の感情があふれ出た。

 吉兆のレーンに入った。持ちタイムが速くなく、15組中4番目。さらに外側のレーンも、銀メダルだった前回大会と全く同じ展開となり「流れがきている」とニヤリ。「強い気持ちでいこうと思った」と100メートルを北京大会から0秒01速い10秒40で通過。直線で一気に伸び、今季ベスト記録で会場のボルテージを上げた。

 レースから11組待ったことでスケート靴は脱いでいた。通常、メダリストは国旗を背中にまとってリンクを滑るが、この日は日の丸を持って中地を駆けることになった。時折立ち止まり、お辞儀をする姿にスタンドを埋め尽くしたオレンジ色のオランダファンから「ミホ」コールが湧き起こった。「(コールを)やってくれるんだ」と驚いたが、スピードスケート女子2位タイとなる五輪9個目のメダルはスターとしての証しだった。

 北京五輪以降、500メートルの国際連盟公認のレースは今大会を含めて13度のみ。今季に限ればW杯で格下のBクラスを1度滑っただけ。「生粋のスプリンターではない」と話しながらも、スピードに乗ることは強み。補欠登録で出場は直前まで迷ったが、デビット・コーチは「走るならフルスピード。そうでなければ出ない」と発破をかけていた。

 今大会はチーム最年長の31歳で迎えた。練習後の疲労がたまりやすくなるなど、年齢にあらがえない部分はあるが、コーチからは「31歳はそんな年じゃない」と活を入れられている。「悪くなっていく理由に、年齢を使おうとしてると考え直させられた」と技術向上に励み続けている。

 オールラウンダーとして戦う上で、目前の勝利を目指すと同時に「逆算を自然と考える部分もある」と明かした。今大会は団体追い抜きと本命の1500メートルを残しており、連続銅メダルは弾みとなった。「(残り)2種目、金メダルを取りにいく」と力強く宣言。ギアを上げて頂点だけを狙う。

 ◆美帆に聞く

 ―北京五輪との違い。

 「最終組迎える上で2番だった。メダルを取れるか取れないかという違いはあった。最終組を見てる時はその祈る気持ちだった」

 ―このタイムでメダルの自信はあった?

 「いやー、なかったですね。ギリギリだなって。どっちにくるかなっていうのは思っていた」

 ―1000メートルの時とは表情が違う。

 「そりゃそうじゃないですか」

 ―1000メートルの銅メダルとは違う思い?

 「やってきた本数が違うので、1000メートルでの銅メダルっていうのはすごい悔しい気持ちだった」

 ―4年前は3連続銀メダルから金メダルに。今大会も2連続銅メダルときているが。

 「メダルを取れることはうれしく思う気持ちはあるが、金メダルを目指してやってきているので悔しい気持ちはある。2種目連続銅メダルは、前回の3種目連続銀メダルを、ほうふつとさせる流れになっている。次のパシュート(団体追い抜き)で断ち切りたい」

 ◆チーム・ゴールド 今大会での金メダル獲得を目指し、23年5月に高木が作り上げた。北京五輪後にデビット・コーチがナショナルチームを離れたが、指導を受け続けたい思いから発足させた。今季限りでの解散が決まっており、ミラノ五輪がチームとしての集大成の場となる。メンバーは所属や国籍関係なく7人が在籍。日本勢は高木、佐藤綾乃(29)=ANA=、堀川桃香(22)=富士急=、野々村太陽(24)=博慈会=、土屋陸(28)=白銅=の5人。

 

 ◆17日に女子団体追い抜き

 高木は17日に団体追い抜きを控える。15日の準々決勝は自身の滑りが乱れて「悔しい」と2位通過。準決勝の相手は強敵・オランダとなり、この日は「ミホ」コールを受けたが、「負けないぞ」と視線を上げた。

 今大会では2つの銅メダルを手にし、五輪通算メダル数は「9」に。2種目を残しており、2ケタの大台に期待が集まる。全種目で表彰台に上れば、2大会連続でメダルを4つ獲得することとなる。さらに11個のメダルは夏冬合わせて日本勢単独3位の大記録まで上り詰める。次戦を突破すれば10個目のメダルが確定。負ければ3位決定戦に回り、メダルを落とす可能性もあるだけに、決勝進出を果たしたいところだ。