(15日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スキージャンプ女子個人ラージヒル) 現役引退すら思い詰めた4年前と…
(15日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スキージャンプ女子個人ラージヒル)
現役引退すら思い詰めた4年前とは全く違う涙だった。「感謝の気持ちでいっぱい」。高梨沙羅は今大会最後の試合をそう振り返った。
五輪で初めて採用された15日の女子個人ラージヒル。ノーマルヒルより大きな台を飛ぶ危険性や競技人口の少なさから、これまで五輪では実施されてこなかった。
女子ジャンプの国際大会がなかった時代を過ごした先輩たちから、高梨は多くのことを教わってきた。競技のすそ野は広がり、ついに五輪でラージヒルが行われる日がやってきた。
ここまで女子ジャンプの歴史を作ってくれた人たちへの感謝を、メダルを獲得することで伝えたかった。
だが、1回目から強い追い風にはたかれ、114.0メートルで17位。2回目は127.5メートルに伸ばしたが、K点に0.5メートル届かず、日本勢最下位の16位に終わった。五輪では自己ワーストの成績だった。
「成長した姿を見てもらえるチャンスだったが、それができなくて、すごく悔しい」
4年前の北京五輪では混合団体でスーツの規定違反による失格の試練に見舞われた。紆余(うよ)曲折を経て、たどり着いた大舞台。「戻ってこさせてくれてありがとうございます、という気持ちでした」。最後まで、支えてくれたファンや仲間、先輩への思いを口にした。
今大会は、その因縁の混合団体で日本初の銅メダル獲得に貢献した一方で、個人戦2種目では2大会ぶりとなる表彰台に立てなかった。
「混合団体では自分の能力以上のものが出せた気がする。だからこそ、自分の能力のなさというか、情けなさが……」。消え入るような声で、自らを責めた。
ただ、日本女子ジャンプの先駆者は、もう下は向かない。かつてのように、他を圧倒する「飛べる型」をいかに取り戻すか。「もっと強くなって(日本チームの)力になれたらいい」と語った。(笠井正基)