数多の名手を手塩に掛けてきたタラソワ氏は、“マリニンショック”をどう見たのか(C)Getty Images 世界を騒然と…

数多の名手を手塩に掛けてきたタラソワ氏は、“マリニンショック”をどう見たのか(C)Getty Images

 世界を騒然とさせた“失速”の余波は今も広がっている。現地時間2月13日に開催されたミラノ・コルティナ冬季五輪の男子フィギュアスケートのフリーで、ショートプログラム首位の“4回転の神”イリア・マリニン(米国)は、転倒や回転不足などのミス連発。初の個人戦では自身初の金メダル獲得を逃がし、8位に沈んだ。

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 絶対王者は音を立てるように崩れていった。2度の転倒に加え、力強さが売りのジャンプも乱れ、狂ってしまった歯車を戻しきれず。試合後もうつむき加減で「まさかこんなことが起こるなんて……。シーズンを通してここ(五輪)に向けて準備してきたし、僕はショートプログラム、いや、すべてに自信があった」と吐露。ひたすらに打ちひしがれた。

 金メダルを“確実視”されていたマリニンの敗北で広まったショックは、フィギュア大国にまで届いている。ロシア大手日刊紙『Sport Express』の取材に応じたタチアナ・タラソワ氏は、「私は彼に同情するわ。誰もがマリニンが1位になることに全く疑いを持っていなかった。過去2年間、あらゆる大会で優勝したことで、誰も彼と競える望みすらなかった」と言及。米国のカリスマが持っていた優位性を語った上で、「私たちは、あんなにもボロボロになる彼を知らないし、何かで失敗する場面も見たことがなかった。彼は明らかに何かに圧倒されていた」と分析した。

 では、“何か”はなんなのか。アレクセイ・ヤグディンや荒川静香、浅田真央など男女問わずに多くの世界的なメダリストを育て上げてきた79歳の名伯楽は、「団体戦で彼はエネルギーを全て消耗させてしまったのよ。あの計り知れないストレスが彼の演技全体を台無しにしてしまったの」と断言。中1日で個人戦へと向かう“過密日程”を問題視した。

「運営側は、彼をはじめとする選手たちを完全に疲れさせていたわ。1週間で2つのフル演技をこなすなんてね。誰であろうとハイレベルで滑るのは不可能。だからこそ、マリニンは転げまわっていた。(個人戦の)最後の方はもう疲れ切って完全に制御不能になっていた。

 マリニンは団体戦をフル参加する準備をしていなかったと思う。そして、彼のエネルギーを全て消耗させてしまった。本来なら彼ほどの選手は、オリンピックの最初から氷上に立たせるべきではなく、もっと後から立たせるべき。これは真剣な議論をすべき問題だと認識している」

 果たして、ロシアの重鎮が発信した“提言”は、本人はもちろん、フィギュア界全体に波及するのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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