2026年のJリーグが開幕した。秋春制の前に、まずは百年構想リーグを戦う。その開幕戦では、強豪チームの疑問と注目ポイン…
2026年のJリーグが開幕した。秋春制の前に、まずは百年構想リーグを戦う。その開幕戦では、強豪チームの疑問と注目ポイントが浮かび上がった。現地取材から、サッカージャーナリスト後藤健生がつづる。
■志の高い両チーム
両チームとも攻撃力が高いチームであることは間違いない。
昨年のJ1リーグで川崎フロンターレはリーグ最多の67ゴールを決めた。また、柏レイソルも川崎と京都サンガF.C.(62得点)に次ぐ60ゴールを決めている(セレッソ大阪と並ぶリーグ3位タイ)。
一方、守備のほうはというと川崎は57失点もしている。
これは、J2に降格したアルビレックス新潟、湘南ベルマーレに次ぐワースト3位の失点数だった。2025年シーズン開幕前に「守備構築のために長谷部茂利監督を招へいした」とも言われていたが、ケガ人の影響もあって守備は崩壊。それが、最多得点を決めながら7位に終わる結果につながった。
従って、川崎の試合が大量得点・大量失点が生まれるのは理解できる。
しかし、3位タイの得点を決めた柏は、けっして失点の多いチームではない。
柏は失点34で、サンフレッチェ広島の失点28、鹿島アントラーズ(31)、ヴィッセル神戸(33)に次いで4番目に失点が少なかった。
両チームは、攻撃のスタイルは「パス・サッカー」という同じ方向性を目指したチームだ。
カウンタープレス全盛の現在。Jリーグでも前からの守備で奪ってから手数をかけずに相手ゴールに迫るスタイルのチームが上位を占める。そんな中で、柏と川崎はボールを握ってゲームを支配し、パスを回して攻めるスタイルを追求している“志の高い”チームなのだ。
■パス・サッカーをするチームの傾向
かつて、鬼木達(現鹿島アントラーズ監督)の下、川崎はこのスタイルを極めてJ1リーグを4度も制覇した。
一方、柏はリカルド・ロドリゲス監督が就任して1年目に、それまでとは打って変わったパス・サッカーを確立して準優勝につなげた。
相手がプレスをかけてきても柏の選手たちはうまくポジションを取って、正確なパスをつなぐことによってプレッシングを回避することができるのだ(その点、川崎は奪ってからのスムーズさが欠けており、それが失点増加につながった)。
川崎と柏の対戦で大量ゴールが生まれるのは、こうした両者の攻撃のスタイルが原因と考えるべきなのだろうか? つまり、パス・サッカーを志向する両チームは、パス・サッカー相手の守りに弱いのか?
しかし、これはサッカーの常識に反しているような気もする。
一般的に言えば、パス・サッカーが得意なチームは似たようなスタイルの相手に対してうまく守ることができるはずだ。各年代別の日本代表は、パス・サッカーを志向するチームに対しては強いが、ロングボールを使ってくる相手に敗れることが多い。
最近は、日本代表は韓国相手に好成績を残している。韓国が昔のようにロングボールを蹴り込んでくるのが最も怖いのだが、最近の韓国は低い位置からつないでビルドアップすることを目指しており、その意味でパス・サッカーに一日の長がある日本に有利に働いているのだろう。
■守備の整備で優勝候補筆頭へ
同様に、アンジェ・ポステコグルー監督以来、オーストラリアもロングボール志向よりパス・サッカー志向に動いており、日本にとっては戦いやすい状況になっている。
ハーフポジションをとってスペースを利用してパスをつなぐのがうまい選手たちは、相手のパス回しの中で自分たちにとって危険なスペースを見極めてカバーする能力も高いからだ。
J1でタイトルを取っていた頃の川崎は、まさにそんなチームで、相手のパスコースを読んで守ることができた。
従って、最近の川崎対柏の試合で、なぜ大量得点が生まれるのか、合理的に説明することは難しい。いずれにしても、攻撃力は高い両チームだ。その、強い相手の攻撃を封じるだけの守備力を構築できれば、一気に今年のJ1百年構想リーグの優勝候補の筆頭に躍り出ることが可能だろう。
両者の次の対戦は、5月10日のJ1百年構想リーグ第16節。三協フロンテアスタジアムでの対戦となる。その頃、どちらかのチームが相手の強力な攻撃に対して守り抜けるだけの守備を構築できているのか。それとも、再び乱打戦に持ち込まれるのか……。
特別シーズンの優勝争いにも直結するだけに、注目していきたい。