サッカーのワールドカップ開催が迫っている。躍進が期待される日本代表だが、多くの好選手が各ポジションにそろう中、大激戦の…
サッカーのワールドカップ開催が迫っている。躍進が期待される日本代表だが、多くの好選手が各ポジションにそろう中、大激戦の“ホットなポジション”といえば、センターバックだろう。誰を起用すべきなのか、サッカージャーナリストの大住良之が、最新の「序列」を採点!
■求められるスイッチ役
現在の日本代表の3-4-2-1システムにおいて、3バックは攻守両面で重要な役割となっている。
守備面では、当然のことながら、1対1の対応能力、ヘディング、互いのカバー能力が問われる。強さ、高さ、スピード、そして判断力のどの要素が欠けても、ワールドカップで戦うことはできない。
しかしそれ以上に、「森保ジャパン」の3バックの一角を担う決定的な力になるのは、日本がボールを保持したときの能力だ。堂安律、伊東純也、三笘薫、中村敬斗といった「アタッカー」タイプを「ウイングバック」に置く日本。当然、彼らは日本ボールになったときには前線に進出し、サイドアタックの主力となる。2人置かれるボランチの1人も、最終的には相手ペナルティーエリアでのプレーに加わるべく前進する。
相手が守備隊形を整えたら、ビルドアップは最終ラインからということになる。3バックで、あるいはそこにボランチの1人が加わってのパス交換から、前線でフリーになった選手の足元にパスが通ったときが攻撃の「スイッチ」となる。そこから日本代表が最も得意とするコンビネーション攻撃が始まるのだ。
守備能力だけでなく、ピッチ全体の状況を見極めたパスが出せるか、3バックの選手たちに高いパス能力が求められている。3バックからいかに先の展開を考えた質の高いパスが出るかが、「森保ジャパン」の生命線と言っていい。
■パス能力の高い若手たち
冨安健洋や板倉滉といった選手たちは、ボランチとしてもプレーできる能力を生かして攻撃の起点となってきた。長くボランチとしてプレーしてきた伊藤洋輝とともに、鈴木淳之介、高井幸大といった若い世代は当然のようにそうした能力を身につけている。そして町田浩樹、渡辺剛ら、以前は「強さ」を前面に出していた選手たちも、ここ数年でパスの能力を急速に高め、「森保ジャパン」のセンターバックとして十分な力をつけた。
2025年に日本代表が戦った10試合(Jリーグの選手だけで臨んだ7月のE-1選手権3試合を除く)で3バックの一角としてプレーした選手は12人。公式戦はもちろん、親善試合でも交代は主としてウイングバックや1トップ、シャドーなどの「攻撃陣」を中心に行われ、3バックが交代することはあまりない。10試合で12人は少なくない数字だ。ケガにより招集できないことがたびたびあったからだ。
■ベストの3人を選ぶ
このうち、板倉、谷口彰悟、伊藤のトリオが、現時点の日本代表では「ベストチョイス」のように思う。谷口は2024年11月にアキレス腱断裂という大ケガを負い、日本代表には2025年10月のシリーズからの復帰で、その第1戦がブラジル戦だった。そして11月の2試合でもフル出場した。34歳を迎えたが、プレーは負傷前より良くなっているように思えた。
ドイツのバイエルン・ミュンヘンでプレーする伊藤は、プレーするごとに評価を高めている。森保監督の下、かつては左サイドバックとしてプレーすることが多く、攻撃に上がったときのプレーが課題だったが、3バックの左でのプレーは絶品だ。
現在デンマークのFCコペンハーゲンでプレーする22歳の鈴木も、この3人と同様、ワールドカップに向けて「当確」と言っていいのではないか。若手を数多く入れた2025年6月のワールドカップ予選インドネシア戦でデビューし、10月以降は完全に戦力となることを証明した。身長は180センチと現代のセンターバックとしては「小柄」だが、ヘディングの強さには定評がある。
何より、ボール保持時のプレーが素晴らしい。鋭く前線につけるパスの能力も高く、スペースに持ち出して相手を引きつけ、フリーになった味方に渡す判断も的確。コペンハーゲンでは右サイドバックとしてのプレーが多いようだが、ボランチも含め、さまざまなポジションでプレーできるのは大きな強みだ。