<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇男子フリー◇13日◇ミラノ・アイススケートアリーナ2シー…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇男子フリー◇13日◇ミラノ・アイススケートアリーナ

2シーズン前の23年12月から個人戦14連勝、約2年2カ月間、無敗を誇った世界王者イリア・マリニン(21=米国)が撃沈。世界最高得点を持つフリーで、まさか過ぎる15位に沈んだ。

世界選手権2連覇の王者が両手で顔を覆い、首を左右に振った。最終滑走。フリー183・42点で首位シャイドロフに並ぶ状況で、誰もが自己ベスト238・24点の王者の金メダルを疑わなかった。「スタート地点に入る直前に、ネガティブな考えが頭の中に押し寄せてきた。これまで経験したトラウマ的な出来事が、全てよみがえった」。不安を4分間で露呈した。

冒頭の4回転フリップは4・71点の加点。だが、自身が世界で唯一4回転半を跳べるアクセルが1回転半にほどけた。前半最後の4回転ループが2回転になると、場内がざわついた。演技後半。4回転ジャンプ2本で転倒すると、今度は悲鳴に包まれた。フリー15位の大失速で総合8位。23年11月のグランプリ(GP)シリーズフランス大会2位を最後に国際大会負けなしだった。「五輪金メダリスト候補として扱われることは、特に私の年齢で本当に大きな負担だった」。突然の悪夢の正体をひもといた。

初めての五輪は団体でSP、フリーの両方を滑り、米国の金メダルに貢献した。7日間で4度、演技した。「プレッシャーや緊張感は、外からは分からない。それは私を圧倒し、コントロール不能に感じた。正直、何が原因だったのか理解ができない」。整理しきれない感情を言葉にするのがやっとだった。【松本航】