(13日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート男子) 何度もイリア・マリニンは語った。スタート…

 (13日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉フィギュアスケート男子)

 何度もイリア・マリニンは語った。スタートのポーズに入る直前のことを。「人生のトラウマ的な瞬間が、あまりに多くのネガティブな思考が、頭の中にあふれ出て、僕では制御できませんでした」

 練習でもジャンプの転倒はめった見られない。それがこの日は2回もあった。他にも4回転を予定していたジャンプが1回転や2回転に。

 大失速で総合8位に沈んだ。ここ2シーズン無敗を誇った21歳は顔を覆った。客席のあちこちから、「マンマミーア(何ということだ)」というつぶやきが漏れた。

 ウズベキスタン代表として五輪出場経験を持つ両親のもとに生まれた。6歳で自ら望んでスケートを始め、両親に教わった。4回転アクセルを世界で唯一成功させ、昨年12月に名古屋であったグランプリファイナルのフリーでは世界歴代最高得点を記録した。

 破竹の勢いがゆえに背負った「五輪金メダル候補」という肩書が、「重すぎたのだと思います」。団体では金メダルを獲得したが、あまりにも苦い初五輪になった。(内田快)