<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇男子フリー◇13日◇ミラノ・アイススケートアリーナ【ミラ…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇男子フリー◇13日◇ミラノ・アイススケートアリーナ

【ミラノ=木下淳】冬季五輪の華、フィギュアスケートに衝撃の結末が待っていた。22年北京五輪の銀メダリスト鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が銀メダル。ジャンプの転倒があり、フリー176・99点の合計280・05点にとどまったものの、世界王者のイリア・マリニン(21=米国)が転倒連発。まさか過ぎるフリー15位で総合でも8位に沈んだため、鍵山に2大会連続の準優勝が舞い込んだ。初出場の佐藤駿(21=エームサービス/明治大)も涙の銅メダル。日本勢3大会連続となるダブル表彰台、同時メダル獲得が決まった。金メダルは伏兵のミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)がつかんだ。

鍵山は最終滑走に残して暫定2位。銅メダル以上を確定させ、SPを滑って2大会連続の銀メダルだった団体と合わせて、日本勢最多となる4個目のメダルを手中に収めた。佐藤も踏みとどまり、日本勢としては18年平昌大会の羽生結弦(金)宇野昌磨(銀)と、北京大会の鍵山(銀)宇野(銅)に続く快挙を果たした。

それでも、鍵山には悔やまれる試合にはなった。冒頭の4回転サルコーから着氷が乱れ、今季のフリーで初投入した4回転フリップは転倒。表彰台だけは死守した。過去2シーズンにわたって無敗だったマリニンが、ジャンプ3回しか決められず、そのまま銀メダルが確定した。

マリニンに次ぐ2位だったSPでは、トリプルアクセル(3回転半)でミスが出た。大台は突破の103・07点も、団体で記録した108・67点には及ばず。それでも「自分へのご褒美タイムだと思って滑りたい。全感情を表情に出してもいいくらいの気持ちでいきたい」と自然体で臨んだ。フリーでは、同国に縁深い、このミラノ・スカラ座で初上演されてから100周年の名作オペラ「トゥーランドット」を舞った。

底から這い上がった1年間だった。25年の世界選手権は銅メダルでミラノ五輪の日本勢の最大出場枠「3」の確保に貢献したが、フリーは自己最低点で10位と大失速。今季のグランプリ(GP)シリーズは2連勝こそしたものの、ともに迷いや不安から練習ではないミスが相次ぎ「不安になっちゃうと、すぐ周りを気にしちゃったりとか『自分なんて…』みたいに思う場面がすごく出ちゃう」と弱気な顔をのぞかせていた。

立ち直らせたのは、信じる力だった。上位6人によるGPファイナル直前の12月上旬。競技を始め、リンクの氷をなめて遊んでいた5歳から指導を受けてきた92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪出場の父正和コーチに厳しく叱咤(しった)され「自分を信じなくてどうする」と奮起した。

銀メダルだったGPファイナルのSPでは、絶対王者イリア・マリニン(米国)を約15点も離して首位発進。2連覇で五輪切符をつかんだ年末の全日本選手権では、ミスもありながらも大崩れしなかったのは成長の証拠だった。「4年前の自分に勝つ準備はできている。五輪の魔物なんて無視して楽しまないと」。羽生結弦、宇野昌磨から受け継いだエースが、ミスこそ出たが、逃げずに最後まで戦い抜いた。

表彰台には、盟友の佐藤とともに、笑顔で並び立った。

◆鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年(平15)5月5日生まれ、横浜市出身。星槎国際高横浜を経て22年から中京大。5歳で競技を始め、19年全日本ジュニア優勝。20年ユース五輪金メダル。22年北京五輪で個人&団体銀メダル。24年4大陸優勝。世界選手権は銀メダル3個(21、22、24年)銅メダル1個(25年)。25年全日本選手権で2連覇。趣味は写真撮影。160センチ。血液型O。