サッカーのワールドカップ開催が迫っている。躍進が期待される日本代表だが、多くの好選手が各ポジションにそろう中、大激戦の…

 サッカーのワールドカップ開催が迫っている。躍進が期待される日本代表だが、多くの好選手が各ポジションにそろう中、大激戦の“ホットなポジション”といえば、センターバックだろう。誰を起用すべきなのか、サッカージャーナリストの大住良之が、最新の「序列」を採点!

■頼れる男の復活

 冨安健洋が戻ってきた。

 南野拓実の大ケガ、久保建英の故障など、ワールドカップの組分け決定以後、主力のケガで懸念が広がっていた日本代表。そのなかで、長く戦列を離れ、アーセナルから契約解除されたセンターバックの冨安がアヤックスでピッチに戻ったというニュースは、久々の明るい話題だった。短時間の出場で、ポジションは左サイドバックだったが、冨安らしい落ち着きと強さを見せ、安心させた。

 冨安は福岡県出身。アビスパ福岡のアカデミーで育ち、高校生のときにトップチームで出場を果たすと、19歳で日本代表にデビュー、以後、代表でもレギュラーとなる。ベルギーのシントトロイデンをステップ台に、ボローニャ(イタリア)を経て2021年にはイングランドの名門アーセナルに移籍、たちまちポジションをつかんだ。しかし相次ぐケガに見舞われ、2024年の夏以降はピッチから遠ざかった。

 身長187センチ、体重84キロ。強さとスピード、読みと粘りを兼ね備えた守備力は間違いなく世界のトップクラス。それに加え、攻撃時の貢献も高い。2023年9月に日本代表がアウェーでドイツ代表と対戦し、4-1の快勝を飾ったとき、冨安は両チームを通じ、攻守両面でピッチ上の最高の選手であることを示した。

 前半11分の先制点は、相手陣でこぼれてきたボールを冨安が右足のワンタッチでサイドチェンジし、右アウトサイドにいた鎌田大地に渡したところから始まった。22分の2点目も、自陣から約55メートルのダイアゴナルパスを正確に右ウイングバックの伊東純也に送ったところから生まれた。さらに前半終盤には、カウンターで抜け出したドイツFWレロイ・サネを追走し、サネのシュートの瞬間に余裕を持って足を出し、ブロックした。

■冨安不在も問題なし

 この冨安のコンディションが上がり、ワールドカップ時にしっかりとしたものになっていれば、日本の守備のレベルが大きく上がるのは間違いない。

 だが、万が一冨安が間に合わなくても、現在の日本代表には有力なセンターバックが目白押しの状態だ。例として、昨年10月、親善試合でブラジルと対戦したときのセンターバックの顔ぶれを考えてみよう。

 ワールドカップ予選で評価を高めた町田浩樹が8月のヒザの大ケガで招集されず、冨安に代わる守備のリーダーであるべき板倉滉もケガで不参加。2025年に入って急速な成長を見せ、将来の最終ラインの核と目されていた高井幸大も不在だった。この試合に森保監督が招集したセンターバックは6人だった。

 オランダのフェイエノールトで好調を保っていた渡辺剛、フランスで活躍する瀬古歩夢、7月のE-1選手権で活躍したアビスパ福岡の安藤智哉、チェコでプレーしていた橋岡大樹(右ウイングバックも兼務)、故障から復帰したばかりの谷口彰悟、そして湘南ベルマーレからコペンハーゲンに移籍したばかりの鈴木淳之介である。

■ブラジル相手に実力を証明

 4日前のパラグアイ戦は、渡辺を中央に置き、右に瀬古、左に鈴木のトリオで3バックを組んだ。だがパラグアイのカウンターで2失点を喫し、課題を残した。そしてブラジル戦、森保一監督は谷口を中央に置き、右に渡辺、左に鈴木を置く布陣に変更した。

 前半はチーム全体が消極的になったこともあり、あっさりと2失点を喫した。とくに2点目は、目の前を左から中央に動いたブラジルFWビニシオス・ジュニオールに目を奪われ、裏に走り込んだMFガブリエル・マルチネリをフリーにしてしまうという、あってはならない失点だった。

 しかし後半、チーム全体が積極的になると最終ラインのプレーも安定した。谷口は、長いブランクがあったとは思えない1対1の強さと成熟した読みを見せた。その左右に位置する渡辺と鈴木は、ブラジルの個人技を凌駕する対応を見せた。日本が3-2とリードしてからアディショナルタイムまで試合は25分間以上あり、当然のことながらブラジルは猛攻をかけたが、安定した日本の3バックは決定的な形はつくらせなかった。

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