2026年のJリーグが開幕した。秋春制の前に、まずは百年構想リーグを戦う。その開幕戦では、強豪チームの疑問と注目ポイン…

 2026年のJリーグが開幕した。秋春制の前に、まずは百年構想リーグを戦う。その開幕戦では、強豪チームの疑問と注目ポイントが浮かび上がった。現地取材から、サッカージャーナリスト後藤健生がつづる。

■寒さを吹き飛ばす熱戦

 秋春制移行に伴う特別シーズンが開幕した2月の第1週は日本列島全体が大寒波に覆われ、J2・J3百年構想リーグの3試合が降雪のために中止となってしまった。だが、より注目度の高いJ1百年構想リーグは全試合が予定通りに実施され、寒さや悪天候にも関わらず開幕節としては過去最多となる24万5501人が来場した。

「寒さや降雪」という環境を考えれば、新シーズンへの期待度の高さが分かる。

 その開幕節。Uvanceとどろきスタジアムで行われた川崎フロンターレ柏レイソルの試合は雪は試合開始前に上がっていたものの、ピッチ周辺には雪が降り積もった中での試合となった。公式記録によれば気温は2.3度だった。

 昨年は7位と低迷した川崎は、昨シーズン素晴らしい内容のサッカーを繰り広げて準優勝した柏を相手に5対3で勝利。結果としては幸先の良いスタートを切った。

 とはいえ、両チーム合わせて8ゴールが生まれた乱打戦。両チームとも、攻撃面では手応えをつかめただろうが、守備力や試合運びの面では課題を突き付けられた試合だった。

■ハットトリックの立役者

 前半開始直後は、25分までに川崎のCFエリソンがハットトリックを達成するという一方的な試合になってしまった。立役者は3ゴールを決めたエリソンとともに全3ゴールに絡んだ伊藤達哉だった。

 昨シーズンは右サイドを主戦場としてリーグ戦だけで13得点と日本人最多ゴールを決めた伊藤。今シーズンは右サイドに同じくドリブラー・タイプの紺野和也が加入したことでこの試合は左サイドでの先発。前半5分には、その紺野からのパスを受けると積極的にドリブルを仕掛け、脇坂泰斗に預けてそのままペナルティーエリア内に進入。こぼれ球を拾ってさらにドリブルを仕掛けてファウルを誘ってPKをゲットしてエリソンの先制ゴールにつなげた。

 さらに11分には長めのドリブルでゴール前に侵入してシュートを打とうとしたところ、エリソンが一瞬早くボールをとらえてシュートを決めた。エリソンにゴールを奪われた格好にはなったが、とにかくこのゴールもお膳立てをしたのは伊藤のドリブルだった。

 さらに、25分、自陣深くのタッチライン際でボールを受けた伊藤はうまく反転して相手陣内に走り込もうとした脇坂の前のスペースにパスを出す。受けた脇坂がロングドリブルで持ち込んでゴール前に入ってきたエリソンに正確なパスを通して3点目につながった。

 こうして、左サイドの伊藤の縦横無尽の大活躍から川崎が3ゴールを連取すると、柏のリカルド・ロドリゲス監督は35分で右CBの馬場晴也に見切りをつけ、原田亘を投入した。

 原田は昨シーズンは開幕直後から右CBとして攻撃参加を見せ、WBの久保藤次郎やシャドーの小泉佳穂と並んで柏の右サイドでの多彩な攻撃の中心となっていた。

 シーズン後半、柏が停滞した時期があり、それが優勝に届かなかった原因となったが、久保と原田が負傷で離脱したことの影響が大きかった。その原田不在の間、代わって起用されたのが馬場だった。

 今シーズンは1月31日のちばぎんカップでも馬場が起用され、川崎戦も馬場に任された。馬場は積極的に攻め上がって攻撃面では貢献していたが、伊藤に対するマークの厳しさを欠いて35分でお役御免となってしまった。

■狙いとは違うゴール

 さて、25分までに3ゴールを奪った川崎の攻撃力を見るとこのまま一方的な試合になってしまうかとも思われた。

 しかし、川崎の3ゴールは、本来川崎が狙っていた形とは違っていたのではないだろうか。

 川崎と言えば、ボールを握ってパスを回して相手守備陣を崩し切ってゴールにつなげるのが目指しているスタイルのはずである。

 だが、この日の前半の3得点は、そういう形とは違っていた。

 1点目、2点目はいずれもGKのスベンド・ブローダーセンからトップのエリソンを狙ったロングフィード(パントキック)がきっかけだった。

 1点目はエリソンをマークしていた柏のDFがクリアしたボールを拾った紺野が左サイドの伊藤に展開したもの。2点目はエリソンの落としをやはり紺野が拾って伊藤につないだものだ。

 そして、3ゴール目は柏が攻め込んでチャンスをつくった後のクリアをタッチライン際で伊藤が拾って、脇坂がドリブルで持ち上がったロングカウンターだった。

 川崎は守備時にはトップのエリソンを残して全員が自陣に引き、4人のDFと5人のMFがブロックをつくって守っていた。そこでボールを奪ってから、前方にある広大なスペースを利用して、ドリブルあるいはカウンターから3ゴールを奪ったのだ。

 そこで3点を決めきった決定力は素晴らしいものだったが、あれは本来の川崎の狙いではなかったはず。守備陣としては明らかに引き過ぎだった。

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