(12日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉カーリング ) 小さな隙を、強豪スウェーデンは見逃してくれなかった…
(12日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉カーリング )
小さな隙を、強豪スウェーデンは見逃してくれなかった。
1―1の第4エンド、日本のショットに乱れが出て一挙3点を奪われた。氷の状態と感覚とのずれを修正できないまま、第9エンドを終えて4―8とされたところで相手の勝利を認める握手を自ら求めた。
スキップの吉村紗也香は「負けてはしまったが、たくさんの情報を得られた」と前向きだった。
勝敗を決める最終投を担うスキップは司令塔。ならば、強くあるべきだと思っていた。「弱みは見せたくなかった」。自分を追い込んでいた。
転機は野球日本代表「侍ジャパン」のヘッドコーチを務めた白井一幸さんを2020年にメンタルコーチに招いたことだった。自分と仲間を信頼することの大切さを説かれ、吉村は緊張や不安も少しずつチーム内で口にするようになった。「不安なことも出した方がすっきりする。コップと一緒で、ためたまま何かを入れようとしても入らない」
昨年9月の代表決定戦。初戦から2連敗した後、宿舎で「悔しい!」と仲間に叫んだ。感情をはき出すことで自分を取り戻し、逆転で代表切符をつかんだ。「本心をさらけ出しても、このメンバーなら大丈夫だと思えた」
小学校時代からの友人でもあるサードの小野寺佳歩は、「メンバーの愉快さに引っ張られて、サヤ自身もすごく明るくなった」と吉村の変化を感じている。「吉村紗也香はオリンピックに行くべきスキップ」とも。
鋭い勝負勘と正確なショットを強みに、吉村は10代から頭角を現した。だが、高校生の時に10年バンクーバー五輪の代表争いに加わって以降、挑戦は過去4度もはね返されてきた。5度目の挑戦でたどり着いた大舞台。「ずっと目指してきた舞台に、今こうして立てている。もう、楽しみながら頑張っていきたい」。黒星発進でも、長丁場の1次リーグは始まったばかりだ。(清水優志)