2025年の「植村直己冒険賞」が12日、東京・明治大学グローバルホールで発表され、「手銛(てもり)漁」(スピアフィッシン…
2025年の「植村直己冒険賞」が12日、東京・明治大学グローバルホールで発表され、「手銛(てもり)漁」(スピアフィッシング)で6つの世界記録を達成している小坂薫平氏(30)が受賞した。
海中に素潜りして手銛一本で巨大魚を狙う命懸けの漁で、15年から100キロ超のイソマグロを狙いはじめ、昨年5月に198センチ、105・5キロの前人未到の100キロ超のイソマグロ捕獲を達成したことが選考対象になった。
東京海洋大在学中にエアタンクを使わない素潜りと、ゴムひもの力で魚を突く手銛を用いた古典的な漁に興味を持ち、鋭い牙を持つイソマグロと一対一の命懸けの戦いを続けてきた。サメの群れにも何度も襲われたという。受賞会見に臨んだ小坂氏は「個人的な好奇心でやってきた挑戦に焦点を当てていただいてありがたい」と、10年に及ぶ独創的な漁生活が高く評価されたことを喜んだ。
19年に18・3キロのコクハンアラを仕留めて、日本人で初めてスピアフィッシング世界記録を樹立。20年に62・8キロのイソマグロを獲ってイソマグロの世界記録を樹立した。21年に86・1キロで記録更新。昨年5月の105・5キロは前人未到の大記録だが現時点で申請はしていないという。
「仕留めるのは1%に満たないハイライト。場所を探して、地元の方の協力を得て、海と向き合って、ようやく獲れる。5年間に渡ってドキュメンタリー映画を撮影しているメンバーを含めて、すべての人に感謝したい」と話した。
始めた頃はカナズチだったが、19年にフリーダイビングのトレーニングを開始。水圧で肺を損傷しながらも、ヨガなどを取り入れたトレーニングを毎日続けて肺活量は8・3リットル(大人の男性の平均値は3・5~4リットル)に。素潜りは潜水68メートル、30秒程度だった息止め時間は6分40秒になった。
大学卒業後は就職せずに、年間約250日を海で過ごす生活を送っている。「ハンターとしてまだまだ伸びていく実感がある。世界中の海に潜ってでかい魚を獲りたい。大西洋や中南米にも興味がある」。名誉ある受賞は新たな挑戦の始まりでもある。【首藤正徳】