神奈川大学野球連盟では最多となる59回の優勝回数を誇る神奈川大学。2024年秋からリーグ3連覇中であり、大学球界の中でも…

神奈川大学野球連盟では最多となる59回の優勝回数を誇る神奈川大学。2024年秋からリーグ3連覇中であり、大学球界の中でも確かな実力を誇っている。

 近年はNPBにも多く選手を輩出している。2024年は庄子 雄大内野手(横浜出身)、佐藤 太陽内野手(浜松商出身)の2選手がドラフト指名。昨年も金子 京介内野手(盛岡大付出身)が楽天から育成指名を受けた。

 2026年度のチームもドラフト候補に挙がる松平 快聖投手(市原中央出身)をはじめ、最速153キロ右腕の本間 陸斗投手(松本国際出身)、旧チームから主軸を務める神田 剛志内野手(津田学園出身)、大学日本代表の候補合宿に選出された岩田 悠聖外野手(山梨学院出身)など、実力者がそろう。

練習内容に序列なし

全国から選手が集まる神奈川大学だが、部員は1学年20人前後と少数精鋭。毎年100人から150人前後の入部希望者が集まるというが、岸川雄二監督の就任以降、部員数を絞っている。岸川監督は神奈川大学のOBであり、西武ライオンズで5年間プレー。2014年に神奈川大学の助監督に就任し、2018年から監督を務めている。

「入学した選手は4年間しっかりと面倒を見るから、覚悟を持って入学してきてほしいというのが神奈川大学のスタイル」と4年秋まで続けることを条件とし、在学途中の学生コーチ転身や就活のための休部などは、基本的に認めない方針を採っている。ハイレベルな大学野球の世界ではフェードアウトしてしまう選手も少なくない。4年間を全うしてもらうためにも、岸川監督はあるポリシーを掲げる。

「レギュラーであっても、控えであっても練習に差はないようにしています。時期によっては人数を区分けすることはあるが、公式戦の前日でも全員で練習します。極論、上手い選手だけで練習すれば、効率的かもしれないが、『自分は必要ない』という影のある選手が出てきてしまい、結果としてチームは強くならない。試合に出られなかった選手でも、神奈川大学に入って良かったと思ってもらえる組織が理想」

 岸川監督の就任以降、退部者はほとんど出ていないという。こうした指導方針が全国から入部希望者が集まる所以でもある。

帰属意識や自尊心を高める存在に

神奈川大学硬式野球部では「文武両道」をモットーにしている。部員たちは授業を優先とし、授業の履修状況によっては練習の時間帯がバラバラになることもある。

 また、部員の単位修得状況や出席状況を部でも管理している。野球部員である前に、学生の本分をわきまえて大学生活を送ることが求められており、新4年生の代は単位の修得状況も良好な選手が多い。

「大学はプロの予備軍でない。教養科目、そして専門科目をしっかりと学び、人として成長した上で、社会に出てもらいたい。その結果、神奈川大学硬式野球部の卒業生は、『使える子が多い』と思ってもらうことが我々の使命。私も一OBとしてチームが強いのは嬉しいですが、強いだけでだらしないのは悲しい気持ちになる」と岸川監督は部員たちの将来も案じている。

 文武両道を体現することは決して簡単なことではないが、神奈川大学硬式野球部が全国大会で活躍することで、卒業生、在学生の帰属意識や自尊心を高めることにもつながっている。本人たちがそこまで意識していなくとも、野球部員たちは神奈川大学の象徴的な存在でもあるのだ。

 神奈川大学硬式野球部は創部初となる日本一を目標に掲げる。その目標を達成するために、選手たちは日々、グラウンドやキャンパスで鍛錬に励んでいる。