氷上で異彩を放ち続けるマリニン(C)Getty Imagesマリニン少年の目に映った羽生の輝き 大技挑戦のキッカケは、日…

氷上で異彩を放ち続けるマリニン(C)Getty Images
マリニン少年の目に映った羽生の輝き
大技挑戦のキッカケは、日本の偉才だった。
米スポーツ専門局『ESPN』のインタビューで、ミラノ・コルティナ冬季五輪に出場中のフィギュアスケート米代表のイリア・マリニンは、自身の代名詞ともなっている「4回転」に挑んだ経緯を告白している。
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何気なく目にしていた憧れのヒーローの挑戦に刺激を受けた。2022年に開催された北京五輪において、当時17歳だったマリニン少年の目に映ったのは、4位と金メダル獲得を逃しながらも、ISU公認大会で初めて4回転ジャンプを認定(回転不足判定)された羽生結弦だった。
群雄割拠のフィギュア界でも「最も難しい」とされたジャンプにトライする羽生の姿は、マリニンには鮮烈な輝きを放った。そして、彼の心に何かを芽生えさせたという。
「正直、ユヅルを見て、とても興奮したんだ。それと同時に『うん、これなら僕にも本当にできそうだ。きっとやり遂げられる』とも思ったんだ。僕は不可能が可能なんだと証明するという考え方で人生を生きていきたいから」
そして、不可能と思われていたことは実現した。シニア挑戦初年度となった2022-23シーズンにニューヨークで開催されたインターナショナルクラシックで、世界初となる4回転アクセル(4回転半ジャンプ)を成功。同シーズンのグランプリファイナルでは、4回転アクセルを含む5本の4回転ジャンプを全て着氷。迫力満点の演技で業界を騒然とさせた。
かつてフィギュアスケート界で“禁じ手”とされたバク宙すらも、今やたやすくこなす「4回転の神」。その異能ぶりは同業者たちも舌を巻くほどだ。『ESPN』で「自分が子どもの頃はスケート界の常識にすら入っていなかった。なぜなら4回転を飛ぶことは文字通り不可能だったからだ」と語るのは、14年のソチ五輪の米女子代表選手でもあるアシュリー・ワグナー氏だ。
全米選手権を3度も制した名手は、こう続けている。
「4回転はスケートでは絶対にできない技だとみんなが思っていました。普通はできないんです」

禁じ手とされていたバク宙もお手の物だ(C)Getty Images
マリニンは素質だけじゃない
では、なぜマリニンはあんなにも軽々と、そして悠々と4回転を飛べるのか。無論、五輪にも出場した元フィギュアスケーターの両親の下で育った彼の素質は大いに影響しているのだが、ワグナー氏は体格も「理想的だ」と分析している。
「彼が完璧に適応した体格でなかったら、4回転を飛ぶのは不可能だったと思う。理想は少しだけO脚。細身で背が高すぎず、かといって低すぎない。そして重心が低いことが有利になる。マリニンはこの競技で成功するために必要な条件に、間違いなく最も近い存在だと言える」
非凡な才能に加えて、理想的な体躯も有している。まさにマリニンは、フィギュア界の「神の子」と言っていいのかもしれない。
現地時間2月11日に行われたミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート男子ショートプログラムでは、高難度の4回転ジャンプを2本も成功させるなど貫録のパフォーマンスを完遂。4回転アクセルこそ封印したが、108.16点を叩き出して首位発進。団体戦に続く金メダル獲得に向けての視界は良好だ。
日本の鍵山優真との上位争いが注目される中で、破壊力抜群のジャンプが、13日(現地時間)のフリーでどこまで異彩を放つのか。羽生の影響を多分に受ける21歳から目が離せない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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