<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):複合>◇男子個人ノーマルヒル◇11日◇テーゼロ距離競技場6大会連続出場で今季限…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):複合>◇男子個人ノーマルヒル◇11日◇テーゼロ距離競技場

6大会連続出場で今季限りでの現役引退を表明している渡部暁斗(37=北野建設)が、自身ラストとなる五輪の初戦を11位で終えた。

前半の飛躍で100メートルを飛んで122・3点で11位に入った渡部は、トップと41秒差でスタート。雪質に苦しめられ、上位との差を詰め切れない戦いとなったが、食らい付いて11位フィニッシュ。

10位のビンツェンツ・ガイガー(ドイツ)とは写真判定だった。

「これが今の実力かなという感じ。追い付きたいなと思っていたが、深い雪でみんな苦戦している中で、自分の体力もいつの間にか削られていた。悔しいけど仕方ない。人生で一番きつかった」と振り返った。

昨季読んだ「徒然草」の現代語訳で印象に残ったのが「花は盛りを月はくまなく~」の一節だった。

「満開の桜や満月、その瞬間のみを切り取って楽しむのではなく、芽吹いてから散り際まで、月の満ち欠けの始まりから終わりまで、その移り変わる情景やその時に思い浮かぶ感情を通してこそ、物の持つ美しさや趣が感じられる」という訳に、自身の競技人生を重ね合わせた。

「始まりから終わりまで、心から堪能できたと素直に思うことができた」。

現役生活の区切りに悔いはない。

引退を正式に表明したのは昨年10月。シーズン前だった。「少しでも多くの背中を押してもらえる力が欲しいと思って」と理由を語っていた。

次戦は17日個人ラージヒル。五輪での個人戦最終レースを控えて「今できるベストは尽くせた。次も頑張ります」と意気込んだ。

飛躍で3位だった山本涼太(28=長野日野自動車)は15位、同15位だった谷地宙(25=JAL)は23位フィニッシュとなった。

◆渡部暁斗(わたべ・あきと)1988年(昭63)5月26日生まれ、長野・白馬村出身。98年長野五輪をきっかけに白馬北小学4年でジャンプを始め、白馬中1年から複合に取り組む。五輪は白馬高2年だった06年トリノ大会でデビューを果たし、6大会連続出場。メダルは銀2、銅2。W杯は個人歴代最多の通算302戦出場。優勝19度。家族は妻と3男。