2月9日、ミラノ・コルティナ五輪のアイスホッケー女子日本代表"スマイルジャパン"は、予選B組の4位で首位スウェーデンと…
2月9日、ミラノ・コルティナ五輪のアイスホッケー女子日本代表"スマイルジャパン"は、予選B組の4位で首位スウェーデンと最後の試合を戦ったが、0-4で敗れた。準々決勝進出の3位以上になるためには「60分以内の勝利」と「3位のドイツがイタリアに60分以内で負ける」という条件だったが、結果は4位のままで、あえなく散った。
「予選4試合で、"自分たちが目指したものにはちょっと遠かったな"って思います」
スマイルジャパンの主将である小池詩織は、落ち着いた口調で語った。
「キャプテンとしても選手としても"集大成"と位置づけ、"自分らしさを出していこう"と思っていました。最初の2試合は硬さが目立って、後半2試合は"らしさ"を出せたと思うんですが......」
日本は1勝3敗(初戦でフランスに勝利し、ドイツ、イタリア、スウェーデンに敗れる)だったが、歯が立たなかったわけではない。スウェーデンには劣勢だったが、他の試合はペースを握りながら不覚をとった形だった。たとえばクリアしきれない、スクリーン(ゴールキーパーの視界をさえぎること)で負ける、一歩が遅れる。あるいは攻め込みながらも得点できず、ターンオーバー(パックを奪われて逆襲されること)での失点など、紙一重だった。
試合後、スウェーデンの選手と握手をする輪島夢叶, 川口莉子 photo by Reuters/AFLO
「自分たちも間違いなく成長していると思います。ただ、北京オリンピックと今回の4試合を比べると、他の国はもっと急速に成長していました。(ジャッジやゲーム展開で)特にコンタクトプレーは審判も反則を取らないくらいで、"当たりの強い試合になってきているな"という印象です。試合がハイレベルになりました」
小池の説明は腑に落ちるものだった。
大きな体を投げ出し、爆発力のあるスプリントで駆け出し、腕力の違いを示すようなショットは、外国人選手に有利だろう。たとえばスウェーデンのヨセフィン・ブーベングの高速戦車のようなスピードと強さは象徴的だった。基本的に女子ではボディチェックは反則になるが、そこは「当たるのはダメだが寄せるのはいい」というグレーの解釈で、ルールのなかで強度の高さがより生かされる状況なのだ。
【「若い選手は個の強さを磨いて...」】
では、これから4年間、日本の女子アイスホッケーも大型化を図り、パワー系のトレーニングを増やし、コンタクトの激しさを追求すべきか。それもひとつの強化ポイントだろうが、没頭するのは危険だろう。欧州でも、日本人の俊敏性や連係力は警戒されており、パワーを重視するばかりでは、その長所も失いかねない。
「史上最低の9位」
今回の敗退に対して、そんな煽るような見出しをつける記事も出ているが、そもそも2018年平昌五輪まで出場国は8チームだった。10チームになったのは2022年北京五輪からで、今回が取り返しのつかない大失敗だったわけではない。前回のベスト8にあと一歩、及ばなかっただけだ。
冷静に戦力や特性を見つめ直し、どのような戦いをするのがベストか。それは4年間で探っていくべきだろう。個人が積極的に海外挑戦をできる環境を作り出すなど、個の成長とそれを生かす組織の融合も求められる。
「今の若い選手はスキルがあるし、個性豊かで、それを出しきれる選手も多いので、持っているものをさらに磨いて、海外選手にも負けない個の強さを磨いていってほしいですね。次のリーダー? それはまだわからないですが......」
小池の言葉は丁寧で、理知的だった。
スマイルジャパンを新たに牽引すべき選手は、これから決まるべくして決まっていくのだろうが、若きエースには輪島夢叶がいる。五輪最終予選での得点は、彼女を輝けるヒロインにした。今回の五輪の大舞台では、ドイツ戦で五輪初得点を決めている。俊敏さ、連係力、負けん気など、日本女子アイスホッケーの次世代のシンボルのような選手だ。
「チームとしても反省点を生かして、立ち上がりは悪くなかったと思うんですが、ゼロっていうスコアで、決めきれないと勝てないなって感じました」
スウェーデン戦後の輪島は、フォワードとして戦犯であるかのようにそう自戒を込めて語っていた。
だが、得点の気配は濃厚に漂わせていた。第1ピリオド、左サイドをスピードでぶち抜いてシュートまで迫り、第3ピリオドも自陣のターンオーバーからシュートに持ち込んだが、あと一歩で決まらなかった。彼女は悔しげに、スティックで氷を叩いた。
「"60分勝ち"が決勝に上がる条件だったので、"自分が点数を取る"っていう気持ちでは常にいました。ゴールに向かって、"攻める"というプレーをどんな状況でも忘れないように......。その意味では、やれることはやったなとも思うんですが、取りきれずに......」
輪島はそう言って涙を拭い、前向きに続けた。
「今日の試合が、オリンピックでは一番手応えがありました。自分の間合いは作れたかなって思います。スウェーデンは格上の相手でしたが、そこまで差を感じたわけではなくて、1点でも入ったら違っていたかなという展開でもありました。ただ、要所は負けていたところもあったので、そこはこれから改善が必要だと思います」
4年後、何をすれば雪辱を果たせるのか?
「決定力とフィジカルの差をどう埋めるか。体の大きい相手にバッとぶつけられた時に、(パックを)取りきれない弱さがありました。要所でそこはレベルが違うなって......」
輪島は真っ直ぐに前を向いて答えた。ひとつの戦いが終わった。しかし若い彼女にとって、この敗北も糧になるはずだ。
スマイルジャパンはミラノでリスタートする。