昨年のブリーダーズカップ(BC)クラシックで世界ダート界の“頂点”に立ったフォーエバーヤングが、世界最高の1着賞金10…
昨年のブリーダーズカップ(BC)クラシックで世界ダート界の“頂点”に立ったフォーエバーヤングが、世界最高の1着賞金1000万米ドル(約15億6733万円)のサウジC(日本時間14日26時40分発走、キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル)で始動する。また、昨年3月に開業し、今回が海外初挑戦となる前川恭子調教師(48)=栗東=から、初めてサウジに挑戦する調教師を3回に渡り連載する。
胸が高鳴る。昨年3月に開業したばかりの前川調教師がサンライズジパングと海を渡る。レースは砂上の世界最高峰を争うサウジC。「本当にオーナーさんに感謝です。どんな馬でも海外を目指すわけじゃない。適性の合う馬なら、どこでも行きたいんです」。矢作厩舎にいた技術調教師時代の24年は6か国に同行し、サウジアラビアの馬場も歩いた。「土に近い感じ。ジパングには中東のダートが合いそうと思ったんです」。確かな“経験値”に基づいた判断だった。
開業からもうすぐ1年がたつ。注目を集めながらも常に愛馬たちが脳裏から離れず、多忙だった日々。そのなかでも乾草を蒸すスチーマーの導入など新たな工夫にも取り組んだ。少し固い草を柔らかくするため、サウジにも持ち込んでいる。一頭一頭を細かく見守る視線は常に“馬ファースト”。「ジパングは可愛い。子供っぽいんですよ、性格が。調教でも他の馬に頼ったりとか、末っ子タイプです」と説明する。
期待が膨らむ理由はもうひとつある。「世界で一番好きなジョッキーなんですよ」と口にするマーフィーとの初コンビだ。助手時代に担当だったロードエクスプレスという馬に19年の秋明菊賞で騎乗。普段はうるさかった馬がスッと落ち着いた。「馬が、馬に乗るのも大好きな人だなって。一昨年ドバイで話しましたが、すごくピュアな感じでした」。今度は自らの管理馬を、世界の大一番で託す。
2年ぶりに戻ってきた中東の地。当時はまだ子供っぽかったフォーエバーヤングが断然の主役だ。「勝負ですから、やっぱり勝ちたいという気持ちがなければ出走してはいけないと思う。狙っていきます」。自分の感性を信じた大いなる挑戦。1年の集大成を異国の地に刻み込む。(山本 武志)
◆前川 恭子(まえかわ・きょうこ)1977年4月9日、千葉県生まれ。48歳。03年から栗東に入り、崎山博樹、田所秀孝、坂口智康厩舎での助手を経て、23年12月に調教師試験に合格し、JRAで初めて女性調教師となった。25年3月に厩舎を開業。同23日の阪神4R(ミトノオルフェ)で初勝利。JRA通算10勝。