◇米国男子◇WMフェニックスオープン◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)2…

久常涼と古川莉月愛さん(写真左)が参加した「夫人会」に潜入

◇米国男子◇WMフェニックスオープン◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)

2試合連続で優勝争いを演じ、ただいま大活躍中の久常涼。現地メディアでも取り上げられることが多く、記事やSNSで姿を見る機会も増えた。インタビューも臆することなく英語で受け答えをしていて、見ていて実に頼もしい。今回は、そんな久常のとある練習日でのエピソードを紹介したい。

スタート前に記念撮影

開幕前の火曜日の出来事だった。久常は「今日はちょっと急いでいるんですよ」と言って、練習を早めに切り上げた。「“リリ”のキャディをやらなければいけないんでね」。リリとは、久常の恋人である古川莉月愛(りるあ)さんのことだ。彼女のキャディをやるとは、どういうことなのか。

「奥様、婚約者、彼女などパートナーが集まる“夫人会”というのがあって、今日そこにリリが参加することになっているんですよ。女性陣でスクランブルの試合をやるみたいで、キャディをやるように言われていて…」。面倒くさそうな素振りを見せていたが、実際は「クラブどうしようかな。パターはスパイダーにするか」などと、莉月愛さんに合うスペックを真剣に考えていた。

チームメンバーと記念写真。いちばん右が莉月愛さん

ツアープロの奥様たちのイベントで、しかもプロ側も同伴とは実に面白そうな企画ではないか。「え? 取材に来るんですか? 何も面白いものないですよ」と嫌がる久常をよそに、せっかくなので同行させてもらうことにした。

大会を制したクリストファー・ゴッターアップ(中央後ろ)の姿も

会場はTPCスコッツデールの試合で使用しない側のチャンピオンズコース。クラブハウスに着くと、ノリのいい音楽が響く中、すでにスタート前のパーティが始まっていた。ミンウ・リー(オーストラリア)や、大会を制したクリストファー・ゴッターアップらの顔が見える。皆パートナーと連れだって、独自の衣装で着飾っていた。莉月愛さんによると、事前に夫人会から「冬季オリンピックの代表選手になったつもりで衣装を作ってくること」と通達があったそうだ。

4人ともイベントを実に楽しんでいた

ベストボールによるチーム戦で、5ホールを回って決着をつける。莉月愛さんは、リコ・ホイ(フィリピン)、カート・キタヤマブライアン・キャンベルらのパートナーと同じチーム。衣装はチーム内で事前に話し合い、「lululemon(ルルレモン)の黒ジャケット&黒スカートに、自国のワッペンをつける」と決めていたという。莉月愛さんもアマゾンで日の丸ワッペンを購入して準備していた。キャディ担当の男性陣はテンガロンハットを被るという決まりがあり、統一感はばっちりだ。

パートナー同伴で記念撮影

驚いたのは久常と莉月愛さんの英語力だ。2人ともチームメンバーと冗談を言い合うなど、最初から溶け込んでいる。「オフィシャルカメラマン連れてきました」(久常)と言って、気づけば筆者もチームの一員のような雰囲気になり、集合写真も撮らされた。コミュニケーション能力も身についたツアー3年目の姿に感心してしまう。

姉御のメーガンさん(写真右)とハイチーズ

莉月愛さんもチームの中心的存在であるリコの奥様・メーガンさんと仲良く談笑。「姉御が引っ張ってくれるので、すっかり甘えています」。聞けば、夫人会は毎週のように行われていて、過去にはカボ(メキシコ)でクルージングをしたり、カナダで乗馬したりしているとのこと。今回もメーガンさんに誘われ、「誘われたものは全部行きなさいと涼くんにも言われるので」と出場を決めたそうだ。

久常のスペアドライバーでかっ飛ばす

さて、プロのパートナーたちのレベルはいかほどか。筆者の感覚では、ゴルフ初心者に近い人が半数以上。あちこちにボールが飛ぶので撮影はヒヤヒヤだった。意外とゴルフをやらない人が多いのだろうか。経験者は4割ほどで、上級者は1割ほどだった。莉月愛さんはひいき目なしでも群を抜いて上手かった。なにせ、久常のスペアドライバー「Qi4D LS×赤ベンタス(7X)」で250ヤード近く飛ばしてドラコン賞をとり、パー3ではニアピン賞を獲得していたのだから、言わずもがな。

パットが外れて悔しがる

ショットはほとんど莉月愛さんのボールが採用され、チームに大いに貢献していた。終わってみればチームは優勝、莉月愛さんはまさにMVP級の活躍だった。久常キャディは、残り距離を測ったり、打つ前に狙いを的確に指示したりと、キャディとしての役割を全うしているように見えたが…さて、貢献度はいかに。

ハイここに打ってくださいと指示を出す

試合後、莉月愛さんに優勝インタビューすると、「ショットは採用されていましたけど、それだけで、チームの皆さんがうまくてパットも決めてくれて」と実に謙虚。聞けば、莉月愛さんはジュニアゴルファーとして経験を積み、アマチュア時代にはプロの試合「ゴルフ5レディス」に出場して予選も通った経験があるというから、上手いのも納得だ。「ちなみにその試合もオレが担ぎました」と久常は自分のおかげで予選通過したと言わんばかり。莉月愛さんは「またその話」と呆れていた。

パー3で距離を測る

PGAツアー3年目を迎えた久常&莉月愛さん。海外生活に馴染めない選手も多い中、そんな心配はどこ吹く風といった様子だ。むしろ2人そろってアメリカでの生活を楽しんでいるように映った。(アリゾナ州スコッツデール/服部謙二郎)

狙いを明確に指示する久常 みんなイベントをしっかり楽しむ パー5のホールで3打目をベタピンにつける活躍