NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第5節2026…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第5節
2026年2月8日(日)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス 3-7 レッドハリケーンズ大阪
あの日、「プロを感じた」スタジアムで。佐賀出身の若武者が踏み出した万感の第一歩
思い入れのあるスタジアムで公式戦初出場を果たしたレッドハリケーンズ大阪の金子琉聖選手
レッドハリケーンズ大阪には九州にゆかりがあり、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)とのビジターゲームを楽しみにしている者が少なくない。その中でも、この試合への思いがとりわけ強かったのは、佐賀県出身の金子琉聖だろう。加入後、初めてのメンバー入りだった。
中学までバドミントンをやっていた金子は、佐賀工業高校への入学を機に、ラグビーに転向。その高校生のころ、東平尾公園博多の森陸上競技場で九州KVの試合を観戦した。まだ深い知識を持ち合わせてはいなかったが、「これがプロの試合なんだな」と感じたという。当時想像もしていなかっただろう。そのチームを相手に、そのスタジアムで、金子は記念すべきファーストキャップを獲得する。
先発したフォワード陣のコンディションは良かった。おそらく、出場機会が巡ってくるとしても、後半途中の予定になっていただろう。けれど、フォワード陣にアクシデントが続いたため、前半37分に一時交替で出場。そのまま、後半もグラウンドに立った。
数日前からすでに、「明治大学では関東大学ジュニア選手権などには出場しましたが、Aチームではなかったので。公式戦そのものが久しぶりで、緊張しています」と、不安げな表情を浮かべて話していた。いざ試合が始まれば「いつでも出られるように準備していた」とは言うものの、想定外のタイミングで初出場となれば「めちゃくちゃ緊張して」しまうのも当然だろう。
けれど、実際に入ってみれば、「戸惑うこともなく、今まで準備してきたものを出せた」。島田久満キャプテンから言われていた、堅実に自分の役割を果たすこともキックチャージに行くこともできた。そしてなにより、「心配や迷惑を掛けてきてしまった両親に、公式戦に出る姿を見せて恩返しがしたい」という思いを実現することができた。
試合後、すぐにメッセージを送ってくれた父には、デビューと勝利の祝福に加え、「プロの姿、かっこよかった」と言ってもらえた。翌日のオフを利用して帰省する予定にしていたため、母からは一緒に帰れるよう「待っているね」と温かい連絡があった。母校・佐賀工業高校の小城博総監督もデビュー戦を見守り、喜んでくれていたことを知った。
ノーサイドのあと、ロッカールームに戻る際の顔つきは、数日前の不安げな金子とは別人のようだった。何か込み上げてくるものもあったのだろう。力強く真っ直ぐ前を見る、凛々しい目が印象的だった。紆余曲折もあったが、やっと立てたスタートラインだ。「この1回で終わりたくない」。この日の気持ちを忘れず、ここからさらに成長を重ねていく。
(前田カオリ)
九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(右)、古城隼人キャプテン
九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ
「本日は本当に寒い中、設営に携わっていただいた関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。
試合が接戦になることは分かっていましたが、前半に風上に立っていたときに得点できるシーンで得点できなかった反省があります。また後半は、まだ時間がある中でもペナルティが続いてしまいました。それらの反省も踏まえ、もう一度チームが一つになり、来週の試合に向かっていきます。今日は、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)さんの激しいプレッシャーもありましたし、自分たちに足りなかった部分をしっかり修正して、来週の試合への準備をします。ありがとうございました」
──僅差での惜敗が2試合続きました。わずかな差を超えていくために必要だと感じていることがあれば、教えてください。
「今日のゲームに関しては、やはり前半のブレイクダウンのところでプレッシャーを受けてしまい、自分たちのボールを継続することができませんでした。ボールキャリアーのアグレッシブさなのかサポートの質なのかは、また映像を見返す必要はありますが、チャンスは作れています。ですので、あと一つのブレイクダウン、あと一つのパスというところがキーになってくると思います。やることを大きく変えるわけではありませんが、自分たちがやってきたことを信じて、しっかり良い積み上げができるようにしたい。来週はショートウィークになりますが、短い準備期間でも質の高い準備をしていきます」
九州電力キューデンヴォルテクス
古城隼人キャプテン
「今日の試合は、このような(気温が低く、時折雪も降る)天候で、風もありましたし、グラウンド状況的にはとても難しい試合でした。今村ヘッドコーチが話したとおり、前半の風上になったときに自分たちがプレーの精度を高く保つことができず、スコアできませんでした。風下になった後半は、自分たちがペナルティをしてしまい、RH大阪さんの遂行力を上回ることができませんでした。自分たち自身で流れを壊してしまったと感じています。80分間をとおして見てみると、まだ高い精度でできていないシーンが要所であります。まだ試合は続いていきますので、しっかりレビューをし、より良くなっていけるようにやっていきます。ありがとうございました」
──次節からは、昨季の2位チーム、1位チームとのビジターゲームが続きます。
「どの試合もしっかり準備を重ねてゲームに臨むということは、大事なことです。100%の準備をしていくことは変わりませんが、今日も含めた直近の2戦では、接戦の中で自分たちの力を出し切ることができませんでした。クロスゲームになったとき、この2試合で気づかせてもらったことを修正し、遂行できれば、もっと成長していけると思っています。すぐにポジティブに切り替えるというわけではありませんが、自分たちはもっとできると思っていますので、継続して練習に取り組んでいきます」
レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(左)、山口泰輝バイスキャプテン
レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「今回の試合の開催にあたりまして、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)関係者の皆さま、協会関係者の皆さま、レフリー関係者の皆さま、そして多く集まってくださったファンの皆さまに感謝しています。ありがとうございました。
苦しいゲームになりましたが、チームとしては今季の1勝目を挙げることができました。九州KVさんとはディビジョン3のころから一緒に昇格し、成長してきた友だと思っていますし、昨季は唯一2敗を喫した相手でもありましたので、自分たちが成長した姿を見せられたことは、チームとして良かったです。とはいえ、思うようにいかないところも多くありましたので、課題を修正しながらシーズン終盤に向けて成長していきたいと考えています。ありがとうございました」
──今季これまでは、このようなロースコアの試合はありませんでした。ロースコアになった原因と、今季初勝利を収められた勝因を教えてください。
「ロースコアになった原因は複数あると思いますが、前半と後半では大きく違うと思います。前半については、22mライン内に入る回数は圧倒的に少なかった。後半は、回数は増えましたが、トライすることができていません。九州KVさんのディフェンスやブレイクダウンでの粘り強さが脅威となりました。
前半は22mライン内には一度しか入れていなかったと思いますが、しっかりわれわれのやりたいことを実行でき、スコアできたことがおそらく勝因ではないかと考えています。それが最後まで効く結果となりました」
レッドハリケーンズ大阪
山口泰輝バイスキャプテン
「まず、この試合の開催にあたり、九州KV関係者のみなさん、協会関係者のみなさん、本当にありがとうございました。
今日の試合は、松川ヘッドコーチも話したとおり(九州KVには)昨季1勝もできていなかったので、まず勝ちにこだわろうと試合に臨みました。その中で7対3というロースコアで勝てたことは、本当に自分たちの自信にもつながりますし、この勝ちから勢いに乗って、残りの試合にも臨んでいきたいと思っています。ありがとうございました」
──ご自身は長崎県出身。楽しみにされていた九州での試合で勝利し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得されました。
「自分たちにとっては、九州でできる唯一の試合です。九州で試合をさせていただけることを本当にうれしいと感じました。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチをいただけたことも本当にうれしいですが、ゲーム内容を振り返ってみれば、キックのミスなどまだまだ改善していかなければいけないところが多くあります。さらにレベルアップしていけるよう、また日々の練習にしっかり取り組み、今後の試合に臨んでいきます」