■「今…

■「今日は賢人がしっかりと仕事をしてくれた」


 あいさつ代わりには申し分ない活躍だった。5点差で勝利した試合で、9得点。赤間賢人は6連敗中の茨城ロボッツを救った1人だった。

「B.LEAGUE DRAFT 2026」で1巡目2位指名を受けた20歳は、2月3日に茨城と特別指定選手契約を締結。今シーズン中にBリーグの舞台に立つチャンスを得ると、7日のホームゲームでプロデビューを飾った。

 しかし、デビュー戦はファイティングイーグルス名古屋に68−76で敗戦。自身はわずか2分5秒の出場でシュートを打つこともできなかった。得点力に秀でた注目ルーキーの出場時間が限られた背景を、クリス・ホルムヘッドコーチはこう説明する。

「チームとして流れがよくない時間帯が多かった。そういったタフな状況で20歳の彼をコートに送りだすには私の中でも難しい判断でした」

 第2戦は日立市池の川さくらアリーナで行われる今シーズンラストゲーム。ホルムHCは第1クォーターから赤間をコートへ送りだした。若きシューティングガードもまた、自分が何を表現したいのか、勝利のために何をすべきかをわかっていた。

「昨日出させてもらった時は、色々考えすぎてしまいました。戦術はまだ理解できていない部分があるので、今日は考えすぎずに、振りきって自分のできることをやろうという気持ちで試合に入りました」

 ボールを持てば迷わずアタック、シュート。それだけではない。ディフェンス、リバウンドでも体を張り、数字には残らなかったが相手をブロックする場面もあった。初得点が生まれたのは、出場からわずか1分足らずの第1クォーター残り3分39秒。果敢なリングアタックで獲得したフリースローを沈めた。

「今日は賢人がしっかりと仕事をしてくれた。彼のフィフティーフィフティーボールへの意識も素晴らしかったですし、そういったエネルギーを出してくれたプレーがチームに伝染したと思っています」

■「これから賢人はもっとプレーできる」


 指揮官が称賛したひたむきなプレーは、ファンの心にも伝染した。赤間がボールを持つたびにアリーナが期待感でざわつく。その熱気は第4クォーターに最高潮を迎えた。

 開始28秒、スクリーンプレーからノーマークの状態で3ポイントシュートを決めると、同1分53秒には自らボールを呼び込み、迷いなく放たれた一撃から再び3ポイントをマーク。FE名古屋はたまらずタイムアウトで時計を止めた。ベンチへ戻る際、「持ち味を発揮できた」クールなスコアラーは初々しい笑顔を見せた。

 後半に流れをつかんだ茨城は、合計16本の長距離砲を成功させて80-75で連敗を脱出。15分12秒のプレータイムを得た赤間は、「1クォーターから3ポイントを狙っていこうと思っていましたし、その気持ちが4クォーターの結果につながったと思います」と振り返った。

「これから賢人はもっとプレーできる」。ホルムHCの期待に応えるには、ディフェンスとフィジカルの強化、戦術理解の向上が必要だと赤間自身が一番理解している。

 プロである以上、オフコートでもあるべき姿が求められる。試合後には、当初参加予定だった小島元基に代わり、ファンクラブ会員限定のサイン会に参加した。

 赤間は大学の時に考えたサインで交流を図り、ロボッツブースターからは「茨城に来てくれてうれしいです」などと声をかけられた。「とても力になるのでありがたいです」 と感想を述べた一方で、オフコートでの課題も身をもって再認識したようだ。

「しゃべるのが苦手なんで、克服していきたいなと……」

 そう照れくさく笑った声には、地元・福岡のなまりが柔らかく混じっていた。

 今節着用した「1」が刻まれたセカンダリーウェアは、負傷離脱中の小島から借りたものだ。「まだ自分のが届いていない」という状況からも、プロとしてのスタートラインに立ったばかりであることを物語っている。

 茨城に活躍の場を移し、これから大きく羽ばたこうとしている期待の星。デビュー2戦目で見せた輝きは、まだ序章に過ぎない。

文=小沼克年

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