◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日(8日)◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261y…

惜敗したが、すごみのある内容だった

◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日(8日)◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)

松山英樹が今季出場3試合目で惜敗した。単独首位から4バーディ、1ボギーの「68」で回った最終ラウンドは、通算16アンダーの首位で並んだクリストファー・ゴッターアップとのプレーオフ1ホール目で敗退。U-NEXTの生中継で解説を務めた、日本ツアー2勝の谷口拓也がゲームを振り返った。

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4日間を通じて松山選手はパッティングの調子がすごく良かったと思います。普段であれば、“ぶっちぎって勝つ”ほどの出来で、やはり週末にティショットが安定しなかったことが悔やまれます。それでも、フェアウェイキープ率44.64%(25/56)の内容で、PGAツアーで優勝争いができるところが恐ろしいところ。1Wショットの不振が、アイアンショットやアプローチに影響することなくゲームを組み立てたところに、改めてすごみを感じます。

最終日、前半4番(パー3)のチップインバーディをはじめ数多くの技を披露してくれた4日間で、私が驚いたのは初日の前半8番の寄せ方。ああいったアプローチはもう、なんなんですかね…。グリーン右サイドから、波打つ地面にクッションさせ、スプリンクラーヘッドのわきを転がしてピンそば1mにピタリ…。普通なら浮かせてスプリンクラーヘッドの向こうに落とすところを、低く打ち出してくるとは。グリーン周りの厄介な傾斜までしっかり読めているのか…と、思わずため息が出ます。

PGAツアーが公開する松山英樹の絶妙なアプローチ動画

ウェッジのフェース面の使い方、クラブと体との関係性が常に変わらないことが、松山選手のチッピングの素晴らしいポイントです。最近は手元の位置を高くして構え、腕とシャフトが真っすぐに近くなるような打ち方をする選手が多くなりました。マシュー・フィッツパトリック選手(イングランド)のように、クロスハンドでも打てるカタチがイメージしやすいでしょう。

初日は粘り強く「68」にまとめた

しかし、松山選手の手元は一貫して低く、飛球線後方から見て、腕とシャフトで作られる角度がアドレスからバックスイング、インパクト、フォローまでキープされます。スイング中に体の回転が止まらず、構えたときのグリップとの関係性を保ったまま、決して緩むことなくボールをきれいに拾っていきます。アプローチ技術の指標であるストロークゲインド・アラウンド・ザ・グリーンは4日間で「+4.805」(全体2位)という充実ぶりでした。

優勝したゴッターアップ選手は開幕戦「ソニーオープンinハワイ」以来の今季2勝目と好調が続いています。スイングは独特そのもの。ダウンで真上からボールをたたきに行ったかと思えば、左手首がインパクト付近で低く抜けて一気に上がってくる。正面から見ると、手元がV字のような動きをして、球を高低に操ります。リストの強さ、腕っぷしのたくましさが際立ちます。

タラレバを言えば、松山選手は最後にツキもなかった。正規の18番のバーディパットの前に一部ギャラリーの声が響き、プレーオフでは1Wショットのトップで物音がして、どちらも仕切り直しを余儀なくされました。ただ、最高の形は勝つことでしたが、苦しみながら2位に入ったことを見逃してはなりません。昨年は開幕戦「ザ・セントリー」で優勝してからトップ10入りが遠ざかりましたが、今季はここまで3試合とも安定して上位フィニッシュ。春先のビッグトーナメントでの活躍に期待が高まります。

解説:谷口拓也
1979年9月17日、徳島県生まれ。東北福祉大出身の大型選手として2002年にプロ転向し、08年「サン・クロレラクラシック」までに2勝を挙げた。1つ年上の谷原秀人のキャディとしてDPワールドツアー(欧州ツアー)にも帯同。数多くのトッププレーヤーを指導したコーチ、ピート・コーウェン氏に師事しレッスン技術を学ぶ。妻は国内女子ツアー3勝の一ノ瀬優希