(9日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スキージャンプ男子ノーマルヒル) 二階堂蓮(れん)の強さは、勢いだけ…

 (9日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピック〈五輪〉スキージャンプ男子ノーマルヒル)

 二階堂蓮(れん)の強さは、勢いだけではない。大ジャンプを2本そろえる安定感は初の大舞台でも揺るがなかった。

 ジャンプ台はラージヒルよりも小さく、飛距離で差がつきにくい。9日の1回目は101メートルを飛んで6位につけた。首位とは4.5点差。距離換算で、わずか2メートルほどの大混戦だった。

 重圧から崩れてもおかしくない中、「2回とも緊張はあったが、わくわく感が勝っていた」。2回目はヒルサイズ(107メートル)に迫る106.5メートルまで伸ばす。着地後、両腕に力を込めてほえ、左手を突き上げた。「メダル取ったっしょって。超えられるもんなら超えてみろ、と待っていた」

 ビッグマウスが魅力な一方で、気持ちの波が大きく、昨季までは大ジャンプを2本そろえられない試合が続いた。今季は変わった。昨年11月のワールドカップ(W杯)で個人戦の表彰台に初めて立つと、「突き抜けた」。年明けのジャンプ週間では個人戦初勝利。W杯個人総合ランキング3位の成績で挑んだ五輪では、かつてのもろさは消えていた。

 北海道江別市で育った24歳。ジャンプの選手だった父・学さんの影響で、小学2年から競技を始めた。今大会の会場は、学さんが1991年世界選手権に出場した場所でもある。試合後、応援に駆けつけた父とがっちりと抱き合った。

 学さんが「(昨季までは)1本良くても1本ダメだったが、(きょうは)2本目で巻き返して、かなり成長した」と目を細めると、蓮の表情は感極まった。

 「お父さんがきっかけでジャンプを始めて、小さいころからずっと教えてくれた。オリンピックでは絶対にお父さんにメダルを見せるぞって思って来た。ちゃんとメダルを取れてよかった」

 五輪には届かなかった父を超え、その先につかんだ待望の銅メダルだった。(笠井正基)