<We love baseball>巨人の春季キャンプが行われている宮崎サンマリンスタジアム。「僕は選手じゃないですよ~…

<We love baseball>

巨人の春季キャンプが行われている宮崎サンマリンスタジアム。「僕は選手じゃないですよ~」。ファンに説明しながら、丁寧に色紙やグッズにペンを走らせる人がいた。加藤壮太さん(27)。19年育成ドラフト2位でBC武蔵(現埼玉)から巨人入団。21年に現役引退後、球団職員となり、いまはファン事業部で4年目を迎えている。

今キャンプでもイベントステージで司会する姿などを見ていた。その人が、どこか申し訳なさそうにしながらも、サインをしていた。選手が帰路に就いた後だった。「毎年、彼はサインを求められてますね」。球団スタッフが教えてくれた。約10分ほどのサイン会が終わった後に話を聞かせてもらった。

「『応援してました』と言ってくださる方もいて。逆に『ステージで知りました』という方もいて、そういう方に喜んでもらいたいと思ってます」。選手時代は「きつかった」という宮崎キャンプ。立場を変えていま、「こんなにたくさんの人に応援されてるんだというのが、分かってたつもりでちゃんと分かってなかった」と振り返る。

ファン事業部に属し、選手とつなぐ役割から見えるのは、もらえるか確証がないサインのために何時間も待つファンの行動だった。「選手は練習の時間、タイミング、その時の体調なども非常にあるんですけど」と事情も分かる。ただ、いまは理想を意識する。「究極を言えば、選手とファンが本当に近い距離で一緒に優勝とか日本一に向かっていくチームです、という形にできたら最高だなと」。その一助となるような施策を常に考えている。

サインに応じるのも、直接ファンの声を聞きたいから、つなぎ役になりたいから。申し訳なさそうにする背中は頼もしく見えた。【阿部健吾】