<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体男子フリー◇8日(日本時間9日)◇ミラノ・アイススケ…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体男子フリー◇8日(日本時間9日)◇ミラノ・アイススケートアリーナ

日本は、団体で2大会連続の銀メダルを獲得した。米国と並ぶトップで迎えた最終種目、男子フリーで佐藤駿(22=エームサービス/明治大)が自己ベストの194・86点を記録。世界選手権2連覇中のイリア・マリニン(21=米国)の200・03点に肉薄したものの、あと1歩及ばず、5人中2位となった。

団体はSP終了後、フリーへ出場する選手を2人(組)まで入れ替えることができる。王者マリニンがショートプログラム(SP)、フリーともに出場した一方で、日本はSPに出場したエース鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)を五輪初出場の佐藤に入れ替えた。SPではマリニンに10点以上の差をつけて鍵山が首位だったこともあり、SNSではなぜフリーにも起用しないかと疑問の声も上がった。

これは、当時の状況を踏まえた上での戦略的な選択だった。背景の1つは、個人戦の近さ。団体の直後には男子個人が控えており、鍵山はメダル候補の中心選手。短期間に何本も滑ることは、身体的にも精神的にも負担が大きい。個人戦を見据えるのは当然のことだ。

もう1つは、男子フリーに求められた「安定感」。団体はミスが順位に直結する。日本が起用した佐藤は、派手さよりも確実性を評価されてきた選手。今季のGPシリーズ、GPファイナル3戦のフリー平均得点189・01点は、鍵山を上回っていた。この場面では、高得点狙いよりも堅実にポイントを積み上げることが重視された。

同じ悩みを抱えていたのは、米国も同様だった。当初は、圧倒的な得点力を持つマリニンを団体フリーで回避する可能性も報じられていた。個人を見据えた負担軽減という点では、日本と事情は共通していたと言える。だが、前夜に関係者から「君が出なければ負ける」と電話を受けたことで翻意。個人に専念する予定だったコーチも猛反発したが、米USAトゥデー紙によると「とても断れなかった」という。

最終的に米国はマリニンを投入し、日本は佐藤を選んだ。その結果、両国の差はわずか1点。どちらの判断が正しかったかを単純に結論づけることはできないほど、ぎりぎりの勝負だった。

鍵山を男子フリーに使わなかった決断は、団体を軽視したものではない。限られたルールと日程の中で、選択した現実的な最善策だった。団体が「実力比べ」であると同時に、「戦略の競技」であることを、改めて示す一戦だったと言えるだろう。【勝部晃多】