則本流出、西口先発志願、鈴木翔の病気などで高まる需要 4年連続4位とBクラスが続いている楽天だが、今年の沖縄・金武キャン…

則本流出、西口先発志願、鈴木翔の病気などで高まる需要

 4年連続4位とBクラスが続いている楽天だが、今年の沖縄・金武キャンプでは“新顔”の投手たちが躍動し、13年ぶりのリーグ優勝へ向けブルペンが活気づいている。なかでも存在感を放っているのが、海外フリーエージェント(FA)権を行使して、巨人に移籍した則本昂大投手の人的補償で加入した田中千晴(ちはる)投手と、ドラフト2位の伊藤樹(たつき)投手だ。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が8日、楽天の金武キャンプを訪れた。この日は午前11時半からのライブBPに3投手が登板し、先陣を切ったのが田中千だった。

 ベテランの浅村栄斗内野手ら5人の打者を相手に、変化球を交えて6球ずつ、計30球を投じ、オスカー・ゴンザレス外野手から2度空振りを奪うシーンもあった。野口氏は「キレのある真っすぐを投げていました。長身(189センチ)を生かした投球フォームには、相手打者を威圧する迫力を感じました。最初は中継ぎとして起用される可能性が高いと思いますが、先発が早めに崩れた場合には長いイニングも任せられる気がします」と目を見張った。

 2022年ドラフト3位で国学院大から巨人入りし、1年目に30試合に登板して2勝3敗3ホールド、防御率5.51の数字を残した田中千。一昨年のオフに右肘のクリーニング手術を受け、昨季は1軍登板なしに終わったが、新天地で周囲の目を引いている。

 楽天は昨季19セーブの則本が巨人に移籍したことに伴い、同14セーブの藤平尚真投手が本格的に守護神を務めることになりそうだ。さらに昨季セットアッパーとして防御率1.07と無双した西口直人投手が先発転向を志願し、左腕の鈴木翔天も難病の胸椎黄色靭帯骨化症を患い昨年10月に手術を受けたことから、中継ぎ投手の需要が高い“台所事情”がある。

甲子園を沸かせ、早大エースを張った伊藤樹が漂わせる落ち着き

「もともと楽天は、過去にも中継ぎでチャンスをつかみ“出世”していった投手が多い。安樂(智大投手=近年はメキシカンリーグで活躍)がそうでしたし、藤平、西口、西垣(雅矢投手)もそう。田中千も続いてほしい」と野口氏はうなずく。

 新人の伊藤樹も、中継ぎのスポットを射止める可能性がある。この日はブルペンで48球のピッチング。捕手の後ろで観察した野口氏は「びっくりするような球速はありませんが、ホームベースを中心に、右打者の内角方向へツーシーム系、逆の外角方向へカットボール、スライダーが制球よく決まっていました。左打席にダミーの人形を立たせると、一段階コントロールがよくなったので、実戦向きの投手かもしれません」と評した。

 宮城・仙台育英高時代に甲子園を沸かせ、早大でもエースを張った実績の持ち主とあって、プロ入り後初のキャンプでも落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 同じルーキーでもドラフト1位の藤原聡大投手は、野口氏によると「キャンプ初日から150キロの速球を連発し、球団側から『慌てる必要はないよ』と軽くブレーキをかけられたと聞きました。京都の花園大が生んだ初のプロ野球選手だそうで、野球名門校で仕込まれるようなスキルは持ち合わせていませんが、ポテンシャルの高さは間違いなさそうです」とのこと。これまで歩んできた野球人生は、伊藤樹と対照的である。

 フレッシュな新戦力が、低迷続きの楽天の順位をぐっと押し上げることになるか。加入した選手の飛躍に注目したい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)